2010年02月06日

「強さの軌跡」

ノスタルジックで大好きな昭和だけれど
必ずしもよいことばかりの時代ではなかった
一番の負の遺産は戦争だろうし、地方で過ごした幼少の頃は
まだ戦後の貧しさも、世界観の狭い地方特有の
陰険な差別や偏見と言うものも残っていた
新しいランドセルを買えない友達、
霜焼け、アカギレ、栄養失調で青洟を垂らし、
詰襟の袖口がいつも白く光っている中学生は当たり前
そしてそんな子は、苛めの対象になるのが常だった

小学校5年の頃、大好きなMちゃんという女友達がいた
一言話をしただけで、不思議なほどに気があった
平屋建てのその子の家は、学校の帰り道、両親は共働きで
その頃の私には珍しい鍵っ子だった
その子も一人でいるのは寂しいだろうし、私も別れるのがイヤで
時々その家に寄り道をして帰るようになっていた
とにかく何をしても何を話しても、一緒にいるだけで
楽しくて幸せで仕方がなかったからである

そんなある日、母からこっぴどく注意を受けた
学校帰りに友達の家に寄ってはいけないこと
そしてそれよりも、Mちゃんの家には行ってはいけないし
友達になってもいけないと・・・
Mちゃんのお母さんが、私の母が綺麗で(当時は?)
好意的なことを言っているとMちゃんからもよく聞いていたので
そんなことを言ってくれるMちゃんにも、Mちゃんのお母さんにも
母の言葉を伝えることなどできなかったし
急に友達をやめるなど、私にできるわけがなかった

しばらくは、今までどおりに過ごしていたが
毎日のようにしつこく問い詰められた私は思い悩んだ
そしてやがて運良く夏休みになった
休みの終わり、苦渋の末にようやく辿り着いた私の決断
それは、クラスの誰とも、一切、話をしないと言うことだった・・・

9月、それまでどちらかと言えば、快活な天然児だった私が
急に貝のように口を閉ざしてしまったので
最初は誰もが珍しがったり、気にかけてくれたけれど
それも、不思議なもので、やがてそれが当たり前のこととなった
その頃、一番辛かったのは、Mちゃんの言葉だった
「何で遊んでくれなくなったの?お母さんに叱られたの?」
私は何も言わず、その場を去った
あのときの哀しそうなMちゃんの顔を私は今でも覚えている

その延長の小学6年、そして中学時代が過ぎ
憂い深くもそれなりに充実した高校時代も過ぎ
その後、上京し、寮生活や一人暮らしをした若き日は
孤独と、自信のない自分自身と向き合う戦いの日々だった
どん底だった20歳の終わり、私を愛してくれる男性と出会い
ようやく10年ぶりに、本来の自分自身の姿を取り戻すことができた
街に出向き、盛り場で人並みにちやほやされるようになって初めて
女性としての自分にも、少しだけ自信が持てるようになった
その後、好きな道に進んでからも、職場が変わるたび
今の自分の居場所はここでいいのかと思い悩んだ
その後、大手アパレルに就職し
自分の力を信じてくれる尊敬できる上司に出会い
ようやく仕事人としての自分にも自信が付いたのが、30代の半ばだった

その後、結婚し、仕事を独立し、一見順風満帆な生活をしながらも
歳を重ねてゆく自分と向き合いながら
生き方はこれでいいのかといつも心の何処かに葛藤の風が吹いた
その後、待望の子供に恵まれ、幸福のマックスになった瞬間
今度は最愛の夫が逝った
人生何があっても、自分で立って歩かなくてはならないのだと
ようやく気がつき、本当の意味で強くなろうという自覚ができたのが
40歳の秋だった・・・

その後は、多分、皆様の知っている強い私
最初から悩みなく強靭な心を持った人などいるのだろうか・・
よく貴女は強いからいいわね・・とか
私は弱いからダメだわ・・とか、弱さを蓑に、強い相手を敵にし
弱さを売り物のようにして、可哀想がられたり、
構って欲しくて仕方ないような方がいらっしゃるのだけれど
それが悪いとは言わないが、私はそんな人があまり好きじゃない
私自身だって、本当に強いのかどうかは今だ疑問なのだ
まだ、一人だけで立って歩けるわけなどない
歳を兼ねて経験を積み、幾分しぶとくはなった
決して美しくなく、そしてまだ体力だけは残っている今だからこそ、
一見強くしぶとく生きられるようになっただけなのかもしれない



posted by マロニエのこみち・・・。 at 14:04| Comment(8) | TrackBack(0) | 独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
遅ればせながらお誕生日おめでとうございます。
わたしもちょっと後をしっかり歩いていきたいと思います。

先日、ここに来て初めてマロニエさんのおっしゃる差別の問題に
ぶつかりました。どうやら近所にそんなところがあったようです。
長い人生で初めて経験しました。
人間って愚かです。
他人をおとしめて自分の立場を確認したいのかな。
時代は平成になって21世紀になっているのに。
Posted by ブルーなビッグママ at 2010年02月06日 19:31
ブルーなビッグママさん

こんばんは
いつもありがとうございます
あの時、何故友達になるのを反対されたのか
理由は聞いていないので今もよくわからないのです
今更訊く気もないし、思い出すのも嫌なことだし・・
ただ、子供は親のこういう言葉に一番傷つき嫌います
尊敬していた親が、実は道徳の時間に習うような聖人君子では決してなく
くだらない体裁に拘る俗っぽい人間だと言うことを知ってしまうからです
Posted by マロニエのこみち・・・。 at 2010年02月06日 23:13
こんばんは。
マロニエのこみち・・・。さまの強さの奇跡を拝見し
失礼ながら既に波瀾万丈という言葉がぴったしだと
思ってしまいました。わたしの好きな映画に
「もう頬づえはつかない」というのがありますが
その中のテーマにもあるように人は自立を決意した
瞬間に強くなるものだと思います。

仰せのように昭和の時代、「差別」は酷かったですね。
わたしの両親は中卒で学もありませんでしたが
「○○だからって見下したり、差別をしちゃあいけない」
「無理に仲良くなることもない。普通に接して仲良くなれるん
なら仲良くなればいい」
と日頃から言っていました。世には高学歴だけが取り柄の
差別主義者が多い中、田舎の無学の両親の方が立派な教えを
してくれたことを感謝しています。
Posted by dawase86 at 2010年02月07日 19:18
おはようございます

私は幸か不幸か、
世の中の底に蔓延るさまざまな醜と出会うことなく
疑問を持つ事もない無知な子供時代を過ごしてきました

大人になるにつれ、今でも
さまざまな現実と向き合い驚愕と恐れを感じながらの日々です

それでもやはり
神様は私の身の丈にあった(?)試練を度々お与えになるもので
その波を真向から受けながら、時にはペシャンコにつぶれ
少しずつ人として成長しているのかなぁと思っています

マロニエさんの
気持ちの濃い人生の伸達が、今のお仕事にそのまま生かされて
愛のある心の通じる作品として
お客様に手渡し出来ているのだなぁ・・と今更ながら思い

人生とは素晴らしいですね。
Posted by vasenoir at 2010年02月08日 09:58
dawase86 さん

おはようございます
>「もう頬づえはつかない」
私も大好きな映画で、リアルタイムで何度も観に行きました
で、一番好きなところは、桃井さんのファッションと、まさしく自立を決意した最後の部分・・
引越しのために布団を荷造りし、カーテンが風でそよぐところ・・
何か新しいことを始めるときの新鮮な心地よさに溢れていましたね
それにしても、素晴らしいご両親ですね
dawase86 さんが辛らつな記事を書かれても、どこか温かさを感じるのは
多分その教えの所以と確信しました
日本人、否、どの国の人たちも、全てがdawase86さんのご両親のような方であれば
もっと世界は平和でしょうね
私は幸か不幸か、親はいい反面教師
早く自分で歩きたくて、自立の気持ちだけは子供の頃から人並み以上に育ちました
だからある意味、親には感謝なのですよ^^
いつもありがとうございます!
Posted by マロニエのこみち・・・。 at 2010年02月08日 10:45
vasenoirさん

おはようございます
そうですよね・・
>世の中の底に蔓延るさまざまな醜と
出会わずに生きることなどできないのですから
それにいつ出会うのか・・・
私はちょっと早かったのかなと思います
その分、打たれ強いのかも?(^^;

>愛のある心の通じる作品として
勿体無いお言葉に赤面です;;
頂戴したお言葉に恥じないよう、今日も一日頑張ります(^^ゝ

>人生とは素晴らしいですね。
はい、結論として、私もこれに尽きると思っております^^
いつもありがとうございます!
Posted by マロニエのこみち・・・。 at 2010年02月08日 10:50
『私は弱いからダメだわ・・とか、弱さを蓑に、強い相手を敵にし
弱さを売り物のようにして、可哀想がられたり、
構って欲しくて仕方ないような方がいらっしゃるのだけれど
それが悪いとは言わないが、私はそんな人があまり好きじゃない
私自身だって、本当に強いのかどうかは今だ疑問なのだ』

あ〜泣けてくるほどわかります。
『おおざっぱで強く見える人ほど神経は細かく、
一見か弱そうな人ほど神経は図太い』
これまで生きてきた私の持論です。

この差別問題も表立って叫ばれる事は少ないですが
いまでも名前で○○って苗字はね・・っていう人もいます。
見えないところで今も苦労されているかたがいらっしゃるのだろうと
おもうと申し訳ない気持ちになります。
そんなもん関係なかろ〜もん!
マロニエさんて、やっぱりステキな女性だわと再認識した本日の文章でした。お近づきになれて、幸せです〜。
Posted by ふくわうち at 2010年02月08日 10:50
ふくわうちさん

おはようございます♪
ご同輩ですね!心強いお言葉をありがとうございます(^^ゝ
でも、強さに憧れがあるせいでしょうか
強いと言われることは嫌いではありません(笑

>そんなもん関係なかろ〜もん!
氏素性が良いと言われる人でも、最低の人間はたくさんいます
私も全く同じ考えです〜^^
でも、持ち上げないで下さいね(重かろ?爆)
いつもありがとうございます♪



Posted by マロニエのこみち・・・。 at 2010年02月08日 11:02
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