2010年08月07日

「暑い日はジャズを聴きながら・・・」

二十歳の頃、入り浸っていた喫茶店に、時々現れる男性がいた
店はカウンターだけの奥に細長い、間口の狭い小さな店で
常連がマスターを、半ば、からかいながらの楽しい会話で
時間潰しに通うような店だった

殆どの人が一日に一度は来る中で、その男性は月に3度ほど・・
いつも一人で物静かに微笑みながら、マスターと話していた
そんなある日、その男性と私とマスターの3人だけの日があり
それもその男性が、もうすぐ故郷の北海道に帰るという報告に来た日だった

その人は、普段は祇園のクラブのバーテンダー
家の事情で郷里に帰ることになり、
向こうで好きなジャズの流れる小さな店を開きたいのだと言っていた

その頃の私は、平日はこの四条西洞院の喫茶店
日曜は、荒神口のジャズ喫茶「しあんくれ〜る」に通い
気に入ったLPを集めるのが好きだった
感化されていた立命の高野悦子さんが通っていた店ということで
単にミーハーな気持ちで店に行ったのがきっかけだったのだけれど
炎天下の河原町通りをだらだら歩き、
ようやく入る冷えすぎくらいにクーラーのきいた暗い店内や
流れるジャズの音色、珈琲の匂い、無愛想なバイト店員、
店に集まる学生たち等々・・
それら全てが、当時の混沌とした私の気分に合っていたのだ

そんなわけで、私もジャズが好きなのだと話をし
どういう経路で渡したのか、今では全く記憶にないのだけれど
二人で会った記憶がないので、多分マスターに言付けたのだと思う
当時お気に入りだったLPをカセットテープに録音し
多分、頑張ってくださいねというようなありきたりの手紙を添えて
その人に渡したのだった

その人とは、それっきり会うことはなかったけれど
多分、手紙を一度くらいもらったかもしれない
その秋、私も銀行員をやめて、アルバイト三昧の一人暮らしを始めた
二ヶ月程経った頃、週二回のバイト先である居酒屋に行くと
仲間が、昨日、●●さんに会いに来たって言う男の客が来てたよ
と言った
北海道の客と聞き、あ、あの人だ・・とわかったけれど
何も言付けず、静かに帰って言ったという
その人とも、それっきりになったけれど
今頃何をしているのだろうか・・・
私より5歳ほど年上で、シャイで優しそうな顔をした人だった・・
荒神口のしあんくれ〜るも、西洞院の喫茶店も今はない・・
冴えない無精髭のマスターは、今何をし、元気に暮らしているだろうか・・

今でも持っている、そのときに私がテープに入れて渡した
お気に入りのLPが珍しく見つかったのでYOUTUBEから拝借
【朝日のようにさわやかに】
それと、別のナンバーだけれど、好きな【チュニジアの夜】
あまりにも定番だけれど、スタンダードナンバーではこの二曲が一番好き・・・





posted by マロニエのこみち・・・。 at 13:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マロニエのこみちさん、こんにちは。
いつも思うのですが、良きにつけ悪しきにつけ、マロニエさんの過去から現在に至る人との出会い、別れ、関わり合いが、今のマロニエさんの大きな財産になっているのですね。
私の方がかなり長く人生を歩んでいるのですけど、やはりその密度の濃さにはとうていかないません。
私の場合、ごく平凡で淡い初恋と、けっこうのめり込んだ恋愛とその結果の失恋以外、ほとんどすぐ風化して何も残ってないのですから、困ったものですよ^^
Posted by sekishindho at 2010年08月08日 00:01
sekishindhoさん

こんにちは♪
いえいえ・・お恥ずかしい・・;
そんなに濃いわけでもないですよ(^^;
それよりも、謎のジェントルマン、せき様を
>けっこうのめり込んだ恋愛とその結果の失恋
させてしまった方をぜひとも拝見したいものです
きっと素晴らしい方だったのでしょうね
せき様も、のめり込んだり失恋することがあるなんて、なんだか妙にうれしいような・・・(笑
いつもありがとうございます♪
Posted by マロニエのこみち・・・。 at 2010年08月08日 11:32
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