2012年02月24日

「3月になれば」

先日の、忘れな草の歌や、亡くなった役者の古いドラマの話と言い、
2月は誕生月のせいでもあるのか、思い出の多い月なのだ

こうして夜になって思い出すのは、
かつてこんな2月の夜に読んだ少女マンガのこと・・・

小学校に上がる頃まで、絵本や童話に加え、ありとあらゆる少女マンガや
雑誌の類を買って貰い乱読していたのだけれど
その後は何故かプッツリと、マンガとの縁が切れてしまった
理由は思い出せないが、また何かのきっかけで
小6のとき、随分久しぶりに手にしたのが【別冊少女コミック】・・
そのとき初めて出会い、不思議な世界の虜になったのが
タイトルにある大島弓子さんの【3月になれば】で
その後、数年間、素敵な作品との出会いを楽しみに
毎月『別コミ』を買う事になる・・・

・・・まだ2月の、風の強いこんな日だった・・・

物語は、確かこんな文章で始まっていたように記憶している
今まで少女マンガに抱いてたイメージ・・
線が強く、華やかで、瞳に星の入ったヒロインの顔
お涙頂戴の、あり得ないストーリー・・
それはそれで、面白くはあったのだけれど
この作品は、そんな少女マンガのイメージを払拭するような、
とても斬新なものだった
黒が少なく、細いペンで細々と描かれた繊細な線・・・
特に特徴あるのが、木漏れ日の表現
フワフワの長い髪のまるでニンフのような少女
テツガクテキな言葉を静かに話す背の高い痩せぎすの男性など
華やかさはないけれど、心に残る抒情詩のような独特の世界が溢れていた

しかしながら年表を見ていると、それ以前も大島作品には出会っていたのだ
記憶に強く残るのは【戦争は終わった】で、
どちらかといえばとても怖くて暗く、苦手な作品だった
当時とイメージが違っていたので、
同じ作者だと気が付かなかっただけなのだけれど・・

その理由も、大島弓子 - Wikipediaを読んで判明したが
当時の少女コミックの自由な環境が

>今までとは異なったテーマを異なった形式で描くことに自らを誘発した

のだそうで、ちょうど拠点を少女コミックに移してすぐの
大袈裟に言えば、運命を感じる出会いだった
まさしくその自由な環境のせいなのか、その他の作品も
少年同士の同性愛をテーマにした竹宮恵子さんや、
バンパイアの萩尾望都さんなど、斬新で心惹かれるものが多かった

これらを思い出していると、当時のことが
まるで古い音楽を聞いたときのように、鮮やかに蘇るから不思議なものだ
当時私は、二階の北側の部屋をあてがわれていたが
エアコンなどない時代なので、ガラス戸の隙間から北風が忍び込んだ

ベッドを買ってもらったのは、それよりずっと後なので
押入れの襖を取り外し、上段に布団を敷いてベッド代わりにしていたが
その押入れの天井や木の壁には、カレンダーや、
マンガの綴じ込み付録のイラストや
当時好きだった郷ひろみのポスターを貼り、城にしていた

ガラス戸が2月の風にガタガタ揺れる音を聞きながら
布団を頭から被りワクワクしながら大島作品の世界に浸った
石鹸のような、薄甘い香りも思い出すのだけれど
それは多分、当時使っていたエメロンシャンプーの匂いだと思う
ドライヤーなどなかったから、お風呂上りは湯冷めしないように
とにかくタオルで頭をしっかり拭いてすぐに布団の中に潜りこむのである

その後の【わたしはネプチューン】や【なごりの夏の】からは、
あの木漏れ日や、白い綿のワンピースや蝉の声が・・・
【雨の音がきこえる】からは、刻一刻と深まる秋の気配と菊の香りが・・・

作品名を見ただけで、当時の空気感まで思い出す
私もマンガを描いてみようと、自転車を立ち漕ぎし
隣町の文房具屋へケント紙やらGペンやら定規やらインク壷やら・・
いそいそ買いに行ってはみたものの、簡単に挫折したが、
高校時代、それと時を同じくし、大島作品の別コミへの掲載が
少なくなったことをきっかけに私のマンガ熱も冷め、
武道館へクラブの練習に入る前には、必ず三日を開けず図書館に通い
福永武彦や、伊藤整や、中野重治などを乱読する文学少女になったのだ

・・・あの頃の大島弓子の作品を、もう一度読んでみたくなった・・・

posted by マロニエのこみち・・・。 at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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