2012年11月26日

「秋の読書と挿絵にまつわる・・・A」

次に手に取ったのは、川端康成の【川のある下町の話 他一編】

これは、川端康成が53歳、昭和28年の作品だそうで
前年に、芸術院賞を受賞した【千羽鶴】
翌年には野間芸術賞を受賞した【山の音】が生み出されていて
その間に、雑誌【婦人画報】の連載小説として
一年を通して書かれた作品と言うことである
こうして年譜を探るだけでも、
作家として脂の乗り切った時代のものだと思わせられる

ばくっと説明すれば、医大でインターンをしている二枚目の学生が
女子3人にモテすぎて困っている・・・というチャラい話になるのだけれど(笑
何分時代背景が戦後・・
舞台は題名どおり、川のある東京の下町で
バラックが残る焼け跡に新しい家が次々に建てられ
そこで運命に翻弄されながらも、真摯に生き方を模索している
いずれも魅力的な美男美女たちのお話なのである

美少女が流れ着く先は、米軍基地のあった福生で
当時の福生の町の描写も、よりレトロ感を出しています
そう、とにかくレトロ・・
そして、幾分メロドラマ風ではあるものの
登場人物が全て善意の人で、哀しいけれども、どこか温かい
子供の頃から身内の不幸続きで、
辛い幼少期を過ごされたと言う作者だからこそ
この本に出てくるような人の温かさを
人一倍求めていたのではないだろうかということを感じたりする
とにかく、この川端康成先生の作品は、
まさか53歳のオジサンが書いたとは思えないくらい
とてもメルヘンで乙女チック・・
いやはや本当に毎回驚かされています

・・・といいながら、悪ふざけの横道に逸れるけれど・・・
・・・若い頃の川端康成さんって、氷川きよしさんに似てませんか?(^^;;

さて、この作品は、昭和29年に映画化もされたらしく
古い映画をよく観ている私も流石にこれは未見だけれど

●二枚目の主人公に、根上淳
●薄幸の美少女に、有馬稲子
●実は恋愛感情を持つ友人役に、山本富士子
●主人公を慕い、健気に尽くす従姉妹役に、川上康子
●美少女を助けて死んでしまう心優しいチンピラ役に、品川隆二

・・・だそうで、かなりの適役だと思うけれども
主人公は、クールなイメージの根上淳よりは、どちらかといえば
もっとソフトな、佐田啓二をイメージしながら私は読んでいました
注目は品川隆二(笑
まだ焼津の半次を演じる前の、見た目そのままの二枚目役ですね(笑

この超レトロな、ある意味正統派メロドラマ的小説に
より雰囲気を添えるのが挿絵

DSCF0850.JPG

この挿絵画家は、福田豊四郎さんという日本画家で
昭和世代なら懐かしい、あのデンターライオンの、福田豊土さんのお父様です
迷いのない骨太の線、レトロなモチーフがとても素敵!

昨年だったか、百恵さんの懐かしいドラマに出ておられる福田豊土さんを見て
この方って、結構知的なお顔の方だったんだ・・・と思い検索すると
高名な画家の先生のご子息と知り、
そのときに、お父様の絵のことを知ったのだけれど
たまたま買った古本の挿絵で偶然出会って、
これもまた、ある意味ラッキーとでもいうのか、
面白いご縁を感じたのでした

posted by マロニエのこみち・・・。 at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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