2012年12月30日

「秋〜の読書と挿絵にまつわる・・・D」

読書の秋口から始めたこのシリーズ
読むのは寝る前のほんの僅かな時間だけなのですが
これが習慣になってしまって
同じく夜の珈琲も習慣になってしまい中毒症状
珈琲を飲む→頭が冴える→ついつい読書時間が長くなり夜更かし
困りましたね
でも、熱があるうちは続けます(笑

漱石の次男、夏目伸六氏の書かれた、この二冊を続けて読んだ

猫の墓―父・漱石の思い出 (1984年) (河出文庫)
父・夏目漱石 (文春文庫)

DSCF1734.JPG

まず、猫の墓から・・・
こちらには、お父様の思い出話以外に
伸六氏ご自身の思い出話が数話、収録されていて
岩波文庫の創設者との交流を書いた【岩波茂雄さんと私】も面白かったが
最も印象に残ったのが、【「愛馬」進軍譜】

これは、氏が太平洋戦争で、中国大陸を転戦した際、
召集された馬方部隊で馬引きをしたときに
小柄な栗毛の牝馬だった「愛馬」との思い出を綴ったもの
わざわざ「」で記しているのは、文中にもこうあるからで

もともと、「愛馬」などと云う言葉を好む程、軍国調の人間でもなかったのだが、因果なことに・・・・(略)・・・・朝から晩迄、尻を追われ通して来た為か、
自嘲と揶揄のやけくそまぎれに、心にもなく
「俺の愛馬が、俺の愛馬が」と、反語の意味で繰り返しているうちに

という表現の通り、
私がそれ以上に、彼女を愛して居たかどうかは疑わしい。


荒涼とした戦地で、散々「愛馬」に手こずらせられながらも
生死を共にし、病や出産など数々の事件を経た後、
ついに内地帰還の日が訪れて、別れるまでの日々が綴られている

重要なのは、今の時代と違い戦時中だということで
好きでお世話をすることになったわけではなく
仕方なく出会い、運命を共にして、別れるのも運命という
何とも刹那的な関係・・・

『自嘲と揶揄のやけくそまぎれ』が随所に現れていて哀感があり
特に最後はどうしようもなく切なくて仕方がないのだけれど
これ以外の、父、漱石や、肉親のことを書かれた作品などにも
同じく切なくも、おかしみがあって温かい
独特の筆の香りが漂います

最後に締められたお兄様の夏目純一氏の解説が
更に温かさと優しさを添えて泣きたくなる
読後感はすごくいい
解説のところに、「愛馬」を引く著者の写真も載っている
カバーは巌谷純介となっていますが、切り絵風の猫と漱石
バックは猫が破った襖のようなデザインで凝っています♪


続いて読んだ【父・漱石】は、お父様との思い出話や
その周辺のお弟子さんたちのことが主に綴られていて
漱石の作品が書かれたときの周辺のエピソードの真実を知る上で興味深く
ぜひ、漱石全集を揃え、各々を照らし合わせながら
改めて読み直したいという気持ちになる
この二冊には、重複している作品が数話ありますが
これらは特に欠かせない名著です

潔癖症で、欝症で、ノイローゼで、胃弱で、立派な血筋の家に生まれながらも
肉親にも経済的にも恵まれなかった寂しい幼少期
驚くほど幅広い交友関係をもち、面倒見がよく正義感に溢れ、情に厚かった漱石

同じく9歳のときに父を失い、
殆ど父親との、良い思い出も持たないままに成長し
大人になってからその作品に触れ、親しみを抱くようになった後
聞き取りや思い出を通して、事実を歪曲せずに伝えたいという思いで
常に超えられない思いを抱きながらも、父と同じ筆を持つ仕事に携わった氏
やはり父子・・という思いを持つし、
作品を通して、この一家の体温に触れると
小春日和、縁側で本を読んだときのような
木の匂い、紙の匂い、日向の匂いを嗅ぐような心持・・・
何度も記したように、「温かい」気持ちになれます
名著は読むべし!

岩波の漱石全集、中古で(^^;)揃えたいと思います!



・・・追伸
今さらではありますが、改めて・・・
漱石の享年は49歳
・・・・・年下?嘘やろ;
死因は胃潰瘍
・・・・・え====;;

先記事の詩人たちの没年齢も合わせ
医学の発達した現代に生きる身としては、
どうしても、う〜〜〜ん・・・・・・・・・となります
残念です
もちろん、胃潰瘍でなくとも、
他の病気で亡くなる可能性はあるのですが・・

posted by マロニエのこみち・・・。 at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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