2014年06月14日

「続々・ルーツ・・・キササゲと曽祖父のこと」

時々、思い出したように、記事にしている曽祖父のこと・・・
古くからの読者様には、誠に申し訳ないのですが
以前書いた記事はこちら・・・




このたび、また曽祖父のことを書こうと思ったのは
つい先日、偶然、「キササゲ」の花をネットで見たこと
そして、「花子とアン」で、石橋蓮司演じるおじいが無くなったこと
そして、画面を観ながら、石橋蓮司が
月形龍之介に、よく似てきたと思ったからだろう・・・

幼かった私の、曽祖父のイメージは、まさしく月形龍之介だった
居るだけで場が締まる、いぶし銀のような明治の男である

さて、その曽祖父・・・
若い頃から、知識欲が旺盛で、ご隠居さんになってからも
新聞の下の欄の、漢方や医学書、薬の類を見つけては切り抜いて
それを取り寄せるのが趣味だった

家の中は、いつも薬草を煎じる匂いがした
多分、キササゲの実を、煎じていたのではないかと思う
調べると、キササゲは、尿の病気に効くとある
きっと前立腺でも、患っていたのではないだろうか・・・

キササゲの木は、庭の南南東の辺りに植えられていた
近くには、石榴、無花果、夏蜜柑、柿、ユスラウメ、
ハナズオウ、スモモの木もあったけれど
キササゲが一番高く、葉もよく茂っていた

ネットで見た花は、クリーム色で、思いがけなく、ふわふわと美しかった
そんなに綺麗なら、覚えていそうなものだけれど
記憶にないのは、背が高すぎて、間近に見る機会がなかったからだろう・・・

庭には、他に、当時流行っていたコンフリーもたくさん植えられていて
大きな葉は、いつも天麩羅になって食卓に上がってきたし
西の、お隣さんとの境界には、クコの木が、生垣として低く植えられていて
赤い実は、祖母がクコ酒にしていたし
私も、甘渋い実を、庭遊びのときに摘んでよく食べていた


そんな曽祖父が亡くなったのは、私が小学2年の11月である
棺の中は、大輪の白菊で埋め尽くされていた
その前年には、一つ違いの弟を、亡くしたばかりだった

女の子に恵まれず、男の子に飽きていた曽祖父は
弟をほったらかしで、私ばかりを可愛がっていたらしいが
弟の棺にしがみついて

「こんな年寄りが生きているのに、できることなら代わってやりたい」

と、泣いていた姿を今でも覚えている

外出することもほとんどなかった曽祖父は
夏は白いシャツにステテコ
寒くなると、ラクダのシャツと股引に、渋い色の着物を合わせた
更に冷えると、その上から、ドテラを羽織るのだ

亡くなった朝、いつもどおり、私は曽祖父の寝床の横を通ったが
布団の下には、ドテラを着込んで、左脇を下に寝ていた
あの時は、既に息絶えていたのだけれど
全く気づかないほどに変わらなかった
きっと苦しみもせず、寝たまま逝ってしまったのだ


そんなに可愛がってもらったのに、小さな子供というのは薄情で
あのとき、それほど悲しんだ記憶がない
でも、偉いもので、人一人亡くなると、家の様子が少しずつ変わっていった

まず、家の匂いが変わった
あの薬草を煎じる匂いがしなくなったのである

キササゲの葉は、冬になると落ちてしまい
実の詰まった茶色く枯れた長い鞘だけが、まるで幽霊の手のように
木枯らしに吹かれて、ゆらゆらと揺れるのである

寒い冬の夜、ゴオゴオという風の音と
窓の向こうで不気味に揺れる黒い鞘の塊を見ていると

ああ・・・お爺ちゃん、本当にいなくなっちゃったんだ・・・

と実感した
生きていた頃には、茶色く枯れた実を見たことがなかったのだ
そうして私は、二度目の喪失感を幼心にも味わった・・・


さて、そんな曽祖父の写真、前に書いた頃は、スキャンが壊れていたので
デジカメで撮ってぼやけていたから
今回、もう少し鮮明な画像に直そうと、アルバムを開いてみると
別バージョンの写真が見つかった
そちらのほうが、同じ横顔だけれど、より鮮明に、曽祖父の顔がわかる

月形龍之介よりも、もう少し洋風のようである
足や手は小さそうだ
何より、頭の形がとても知的だ
お爺ちゃん、やはり渋くてカッコイイ・・・と思った

ネットの時代、お取り寄せは当たり前だけれど
曽祖父が生きていたら、きっと通販にはまっていたことだろう
今は、私が、同じように、健康食や、健康本を取り寄せている
そして、時々、主に仕事関係の、古い教則本のようなものを見つけては
病気のように大人買いして集めている

若い日を、都会で、知識や芸術にまみれ過ごした曽祖父にとって、
思いがけない田舎暮らしは、さぞかし物足りなかったろう

なにやら知識が、枯渇していくような焦燥感を覚えたのではないだろうか
そして何より、もっともっと知りたいことがあり、勉強したかったのだ

この歳になり、曽祖父の気持ちがよくわかる・・・


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posted by マロニエのこみち・・・。 at 01:05| 京都 ☀| Comment(0) | 思い出話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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