2015年09月17日

「無花果と扁桃腺と古いドラマ」

今日は朝から、しとしとと秋の雨・・・
ラジオ第一は朝から国会が慌しく
雨に、チリの地震に、国会に・・・と気が滅入るので
FMに変えて、クラシックを聴きながら、
黒いベロアのロングドレスを作っています・・・


ところで、ご近所の農園の無人販売所では
少し前まで、イチジクが売られていました
そして、ときどきは、手作りジャムが・・・

残念ながら、イチジクの実は、争奪戦で買えなかったのですが
ジャムは、行ったら残っていて、今年、三つも瓶を買いました。。。

そんなイチジクのことを書いた、思い出エッセイがあったので
10年前のブログよりご紹介。。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2005/10/4 「無花果と扁桃腺と古いドラマ」  


早朝、稲荷大社近くの
静かなお屋敷街へ犬のお散歩に出ると
植え込みからふんわりと甘〜い香りが・・・
もう金木犀の季節なんですね
秋です!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


わりと最近まで、毎年この季節
変わり目の時期に扁桃腺を腫らして微熱を出した

少し頑張れば、学校や職場に出られないこともないのだが
不愉快な喉の痛みも手伝って
夏に疲れた体を癒すためか、毎年休んだ
まるで秋到来の恒例行事のように・・・


中学生だったその頃の私は、朝、ゆっくりと睡眠をとり
少し気力が出てくると、季節には少し早い
ベージュに茶の編みこみの、自分で編んだ
ガウンのようなカウチンのカーディガンを
パジャマの上に羽織り、ふらふらと裏庭に出た


昼近い秋の日差しが暖かく、穏やかで心地よく
まるで甘やかされている小さな子供のように、幸せな気分になれた


庭には柘榴(ざくろ)、枸杞(クコ)
ゆすら梅、スモモ、夏蜜柑、八朔(はっさく)
桃など、実のなる木がたくさん植わっていて
なかでもこの季節、無花果(いちじく)は 、たわわに実をつけていた

家族で他に誰も食する者がいなかったが
唯一私はこの果実が好きで、手を伸ばして、一個ずつ大きな実をちぎり
その日初めての食物を口にするのだった


庭の南端に湿った土の匂いのする物置小屋があり
そこに母の子供時代の【少年倶楽部】【少年の友】
のような名前の、古い雑誌や
『ラクサ ラクサ』などと右からカナで書かれた
古い教科書や、骨董品の水屋や
切子のガラスなどがガラクタのように乱雑に入れられていて
古い本独特の匂いのする雑誌を開いて
大蛇(おろち)や竜が出てくる探検小説などを
ドキドキしながら読んだりもした


昼になると、のそのそと茶の間に行き
味噌味の雑炊、または梅干のお粥などを食べた後
その頃毎日放映されていた【ライオン奥様劇場】
(多分こんな名前だった 今もあるのだろうか?)を観るのだった


その頃のTVドラマは、文芸小説原作のものが多く
ざっと記憶をたどってみても・・・


●樫山文枝主演・林芙美子・原作【放浪記】
●佐藤オリエ主演・林芙美子・原作【浮雲】
●佐藤佑介主演・立原正秋・原作【冬の旅】
●佐藤オリエ主演・高村光太郎・原作【智恵子抄】
●速水亮主演・田宮虎彦・原作【別れて生きるときも】
●上村香子主演・石川達三・原作【転落の詩集】
●大和田獏主演・曽野綾子・原作【二十一歳の父】
●島かおり主演・河野実・大島みち子・原作
【愛と死をみつめて】


などがあった
全部よかったが、放浪記は絶品だった
樫山文枝さんの歌っていた
『捨〜て〜てきたふるさとを〜♪』という主題歌は
今でも覚えていて歌うことができる(笑)

続きが見たくて早退したり、 お腹が痛いと言って休んだり
試験中は、誰にはばかることもなく早く帰り観たものだ
思えば困った子供だった


野や、林や、麦畑を、真っ黒になって、走り回っていた幼少時代と異なり
思春期は一変して、内気で、部屋にこもることが好きな
病気がちな少女になった

父は、こういう私を【真昼のガス燈】と称して嘆いていた


小学校高学年から中学にかけては、何の楽しい思い出もない
小説や、ラジオや、毛糸や、歌番組が友達だった
しかし、こういう形であれ、文芸小説に触れたことは
収穫だったのではないだろうか


その後、もう一度、原作を読みかえすことで

私の読書熱にさらに火をつけ
原作を書いた田宮虎彦、立原正秋などの
珠玉の名作はほとんど読破し
温かく優しい人の心に触れたり
厳粛な和の世界を知ることができた

趣味だった編物や洋裁は、今の生きる糧となり
好きだった音楽は、今の自分の潤いになっている

人生なんの無駄もないんだ・・・

そんな気がする
たまには、自分を甘やかして
したいことだけを思う存分する時間があっても
決して悪いことではないのではないか・・・・・


単なるまわり道だ
どうせ、嫌でも、歩き続けなければならないのだから・・・
人生、道草も必要だ・・・


posted by マロニエのこみち・・・。 at 15:18| 京都 ☔| Comment(2) | 思い出話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
無花果、柿、桑の実が、私の郷愁を誘う三大果物です。無花果は実家の裏庭にもあって、小さい頃はよくもぎ取って食べたものです。熟すと蜂が寄ってきて、どちらが先に食べるか競争になりました。昨日スーパーに行ったら、早稲の柿が売っていて、無意識のうちに1袋買い物かごに入れてしまいました。秋本番、ですなぁ。
Posted by ギャンブラー at 2015年09月20日 09:34
ギャンブラーさん

こんにちは♪
その三大果実、わかる〜〜〜!
私もまったく一緒!
生まれた土地は違うのに面白いですね。
昭和のころの田舎は、どこも同じってことでしょうか^^
私も昨日、商店街で、柿を見つけたのですが
まだ早いかなあ・・・と思って買わなかったのですが
今日、行ってこようかな(笑

もし予備軍を挙げるとすれば、枇杷、木苺、アケビかな・・?
でも、木苺、アケビはほとんど食べてなかったけどね^^
Posted by マロニエのこみち・・・。 at 2015年09月20日 11:23
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