2016年05月02日

「名作童話に再会〜めもあある美術館」

FBの『お友達』の装丁作家さんの記事で、
【めもあある美術館】という懐かしい本の名を読んだ


この物語、知っている
しかもかなり好きだったものだ・・・と思い気になって仕方ないので
収録されている【水曜日のクルト】という本をアマゾンに頼んだ


今日の夕刻、コトンという郵便受けの音がしたので
取りに行って、さっそく読んだ

その方が書かれていたとおり、どれも珠玉の名作だった
イメージが膨らむような夢のある言葉がちりばめられていて
ときどき出てくる色の印象が特に強く
それらの美しい色を使ったヘタな挿絵など描いてみたい気持ちになる


編集されている六話の中で、
【めもあある美術館】【ある水たまりの一生】などこれを読んだ当時は
なんとなくイメージでわかる気がすると思っていたものが
大人になった今、よけいに深々と心に沁みる


書かれたのが昭和だから
『フロ屋と大衆食堂とのあいだのろじに、夕日がななめにさしていました』
の表現などこれだけで、ノスタルジックな世界に惹きこまれてしまう


6話の中でひとつだけ、戦争をテーマにした哀しい物語があった
その次の最後の話【ありとあらゆるもののびんづめ】は
ハッピーエンドで、先の物語が辛かった分
なんだかうれしくなってウルっときてしまった


編集の仕方が上手い、上手すぎるぞ・・
相手はプロの編集者だから、あたり前田のクラッカーなのだけれど;


【めもあある美術館】を検索すると
6年生の教科書に掲載されていたとある
そうか・・教科書で読んだのかもしれない
なんとなく思い出した


本の表題になっている【水曜日のクルト】の中で、主人公の絵描きが
『もらったばかりのおかねで、赤いろうそくを一本と、
ヒイラギの葉の付いた銀色の鐘を買って帰った』
という文章があって
これを読んだ瞬間に、あ!・・・と、まさしく
私の中の、めもあある美術館の扉が開いたような心地になった


この美しい文は、私の記憶の棚に入っていた
これも、かつて読んだことがあったのだった


もうひとつ、同じ頃に読んだ本で、どうしても思い出せないものがある
男の子が、夕刻道を歩いていると、知らない隣町に入ってしまい
いつのまにか白い一匹の犬がついてきて・・・という
全体がデジャヴの不思議な空気に包まれた大好きだった物語である
気がつくと、自分の家に着いていた・・・という終わり方もよく似ていて
これももしかしたら、作者、大井三重子さんのものだったろうか・・


これは、教科書や、一冊の本ではなくて
当時の小学生の読んでいた、科学や学習などの
雑誌の中に掲載された短いストーリーだったということだけは
鮮明に覚えている
もしも知っている方がおられたら教えて欲しい


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posted by マロニエのこみち・・・。 at 23:24| 京都 ☁| Comment(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月04日

「雑誌クロワッサンから。。」

少し前に、クロワッサンの雑誌のモデルが私にそっくりと

ご近所の親しいお客様からメールがあった


もう既に本屋さんには、新しい号が並んでいたので
パン特集なら買ってみようかと

アマゾンで久しぶりに【クロワッサン】を買ってみた(笑


で、開いたところがこの方・・・
懐かしい!!!
なんと、甲田益也子さん!



私が専門学校時代、少ないお小遣いを工面してでも
【装苑】【ドレスメーキング】【an・an】の雑誌は欠かせなかった
ちょうどその頃、花椿のモデルでデビューされ
その後、長らく、an・anの紙面を独占されていた


80年代が始まったばかりの頃で
私自身も、新しい人生を歩み始めたばかりで
とにかく時代の空気感というのか
見るもの全てがキラッキラに輝いていた頃・・



ドレスメーキングは、主に課題の服作りの
パターンの参考書みたいなものだったけれど
装苑は、もちろん、装苑大賞の発表と、当時は、DCブランドの服や
雑貨物などの作り方の記事も多かったし
長沢節先生の、映画評論がとても楽しみだった


an・anは、まさしくその時代の空気を感じる雑誌
まずはan・anを見なくっちゃ・・・
くらいのファッション情報誌だったのだ



このあと、学校を卒業し、アルバイトや夜間学校を経て
最初に就職したアパレルは、京都の小さなマンションメーカー
主に、当時流行っていた、ピンク・ハウスの
ピンタックやフリルやレース、くるみ釦などがいっぱい付いた
フリフリのブラウスのコピーをよく作っていた



ピンクハウスや、デザイナーの金子さんご夫婦の記事は
本当によく載っていたな。。


アパレルのターゲットは、
10代後半の学生から、20代前半のOLなど若い女性だったので
新宿伊勢丹辺りへ、よくリサーチに行かされた
得意先の営業さんと、初めて入った
池袋サンシャインシティの最上階のレストランは
風が吹くと揺れるのでびっくりした


原宿にもよく足を伸ばしたが、あの当時の街の雰囲気・・・
小さな駅を出ると、思い思いのファッションで着飾った若者で溢れていて
時折ビルの隙間を吹きぬける
青葉の香りのするような風の心地よさ・・・
本当に、風薫る原宿・・・・のイメージがあったのである



そういえば、同じ頃にドレスメーキングのモデルだった
伊藤ライムさんにも、似ていると言われたことがあったっけ。。


いずれにしても、お二人とも時代を共に生きてきた方
調べたら、ほぼ同年代なので更に驚いた。。。
似ているかどうかの話は別にして
勢いのある、懐かしい時代を思い出して、楽しかった


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2015年04月30日

「桑の葉、桑の実」

毎年、初夏から夏にかけての我が家の行事
それは、庭に茂る桑の葉を摘んで、洗って、干して
桑茶を作っていただくことです

さっき、また陽気に誘われ庭先に出ると
美しい葉がだいぶ茂ってきたので
今年最初の収穫をしました

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実も、こんな感じで各々の枝に付いています
今年は、今迄で一番、収穫が期待できそうです♪



さて、先の記事で、この季節に読みたいのが三四郎と書き
実際に今、先生が、引越ししたあたりまで読み進みました

今年は、2月に東京に行って、本郷、根津、谷中辺りを歩いたので
より、リアルに身近に、漱石の軌跡や古い時代を感じながら
楽しく読んでいます

100年も前の若者を描いた、若き日の漱石の瑞々しい文体に
ぐいぐい引き込まれています・・

しかしながら、本当に、明治の頃の方々は
ああいう会話をしていたのでしょうか・・
それとも、漱石がロマンティックなんでしょうか・・・

このあと続いて、またもや再読しようと思っている【それから】にしても
あの百合の花を介しての会話の美しさといったらありません・・

映画も、あの場面はよかった!
優作を翻弄する藤谷美和子に、本気で嫉妬を覚えたけれど・・・(笑
藤谷さん、今、どうされているのでしょう・・・;;



ところで、元に戻って、桑といえば、
ずっと以前に、こんな記事を書いたことがあります




この桑の実の作者、鈴木三重吉は
三四郎の登場人物、与次郎のモデルだそうだけれど
あんなに情緒のある素晴らしい本の作者が
モデルになると、いつもせかせかした口数の多い
残念な人物になってしまう;;


そういえば、今は亡き、音楽をやっていた知人も
・・・・作品と作者の人格は、必ずしも一致しないからね・・・・
と言っていたけれど、果たしてそうなのだろうか・・;;


どの本の中でも、同じような書かれ方だから
実際、そういう人だったのだろうし、
それもまた、面白く興味深くはあるのだけれど(笑


あの〜〜
よくあるのが、パステル調の柔らかいタッチの絵を評して
作者の優しいお人柄が・・・
みたいなことをおっしゃる方がいる・・・というよりも、
皆さん、必ず(否、絶対に・笑)おっしゃるのだけれど

それを見聞きするたびに、イラッとするのは私だけなんでしょうか(笑
確かに、そういう一面はあって然りではあるけれど
それだけじゃないでしょ?
激しいタッチの絵を描く人は優しくないってことになりませんか?
って、ヘソを曲げてしまうのは、三重吉気質のせいでしょうか(笑

ギャップこそが、人の最大の魅力
そういう意味でも、漱石、三重吉、どちらも魅力的で
ワンパターンな趣味からいつまでたっても抜け出せません(^^;


posted by マロニエのこみち・・・。 at 11:23| 京都 ☀| Comment(2) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月07日

「読書の秋・今年の始まりは・・」

昨日の朝は、ケイヨウの学校も
二時間遅れで始まりました
大きな台風だったようですが、
皆様のところは大丈夫だったでしょうか


さて、そんな嵐の去った今朝は、随分と冷え込みました
長袖Tシャツ一枚で家を出たら、肌寒かった・・
金木犀の香りも去って、いよいよ本格的な秋が訪れたようです


秋の始まり・・
今年の読書の秋というほどでもないのですが
思いがけなく読むことになったのがこちら・・・



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伏見に越してきて、すぐに来てくださったので、もう10年以上・・
以来ずっと、毎シーズン
オーダーを下さるお客様がいらっしゃるのですが
本や、いろんな趣味に似ているところがあって
本やCDの貸し借りをしたり
ご自身が出版された本を頂いたりと
お仕事以外でもお付き合いくださっています

その方から、もしやよろしければ・・・
とお声かけ頂いたのが、叔母様から頂いたという
中原淳一さんの【女の部屋】

もちろん、大喜びで頂戴いたしましたよ!
ひまわりやそれいゆと違い、こちらの復刻版はまだなので
私もまだ、見たことがなかったのです

ああ〜〜〜〜うれしい!♪♪♪

中身をみて、びっくりです
本当に充実感がすごいのです
ちなみにこちらは、一号の目次ですが
あらゆる分野の第一人者が続々と登場し
結局、中原先生は、この後、更に体調を崩されて
五号までしか発行が叶わなかったのですが
ずっと現役で、妥協のないお仕事を続けてこられた先生・・

本当に、これだけのお仕事をなさっていたら
ご病気になるのも仕方ないかも・・・と改めて感じました
本当に、すごい方だと思います。。。



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それと、右下の五木寛之さんの本は
ケイヨウが学校の授業で、近くの伏見図書館に行ったとき
借りてきたのが、なぜかこちら・・;;

もちろん、本人には難しすぎると思うのですが(笑
五木寛之さんは、金沢に住まれていた頃
ケイヨウパパが学生時代で、近くだったので
家も覗きに行ったことがあるとかで、本もたくさん持っていたので
何だか不思議な感じがしました;;

内容は、今まで雑誌などに書かれてきたエッセイの総集編のようなものですが
読みやすい文体は流石ですね。。
そんな感じで、私が読んでおりますが(笑
久しぶりの五木寛之さんです

画像の葉っぱは、朝のバス停で拾った柿の葉
綺麗に色づいていました

秋の深まるこの季節・・・
何をするにも気持ちがいいです
素敵な秋が、訪れますように・・・♪





posted by マロニエのこみち・・・。 at 11:22| 京都 ☀| Comment(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月15日

「秋〜の読書と挿絵にまつわる・・・F」

どうせなら、まとめて読んでしまおうと、
引き続き、石井好子さんの本を読んでいる

今日は、東京の空の下オムレツのにおいは流れる

ちょうど二年ほど前に書いた 2011年01月24日「巴里の空の下 オムレツの・・・」

この本の姉妹本だけれど、
なんと、前作の巴里の空の下・・・・から二十数年を経た昭和60年、
これより過去五年間に暮らしの手帖で連載されたエッセイが、
初版として発行されたものである

前回の記事で、装丁、挿画が誰なのか、本に記載されていなかったため
あれこれ調べ、佐野繁次郎さんの装丁と書いたところ
それは違いますと、読まれた方からコメントを頂戴したが
今回【東京の空の下・・】の本には、
【装幀・装画 花森安治 渡辺ゆきえ】とはっきり記されている

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こうして並べてみると、デザインはほぼ同じで、
部分的にモチーフや、色使いが変えられている
昭和60年、花森安治さんは、既に他界されていたので
多分、花森さんの絵を使って、渡辺ゆきえさんという方が
レイアウトを担当されたのではないだろうか・・

何とも心憎いほどに可愛らしい、花森画伯の色使い、タッチ、バランス・・
その花森安治さん亡き後も、その素晴らしい感性が
しっかり引き継がれていることがまた、何よりも素晴らしい・・


さて、その可愛らしく装われた本の中身だけれど
前作を書いたことで、前よりも料理通となり、
料理もうまくなった・・・とご本人が書かれているだけあって
更に、内容が濃くなって、次々と畳み掛けるように
各国の、あるいはお店の、あるいはあるシーンでの
あらゆる料理がレシピやエピソードと共に紹介されている

めまぐるしく語られるその中で、特に心に残ったのは
大切なお父様と、ご主人にまつわる料理や
それにまつわる思い出話が語られている、いくつかの章である

【女ひとりの巴里ぐらし】の冒頭でも、
同じくお父様のことに触れられているが
幼い頃、『お宝お嬢さん』と呼ばれ大切に育てられた石井さん・・
お父様とは、政治家の、石井光次郎氏であるが
この父娘のエピソードは、
どんなロマンティックな高級店で頂く料理よりも甘美なのである

そんな石井さんが59歳のとき、
お父様を9月に、続けてご主人を12月に・・・
相次いで亡くされた
そして、ご主人が入院された9月から、亡くなるまでの三ヶ月の辛い時期に、
気丈にも35周年記念のリサイタルを勤め上げられたそうである

だいたい胃腸が丈夫なのだ。
どんなに打ちのめされ、うちひしがれていても、
目の前にご馳走が出てくれば、食べるのだ。
泣きながらだって食べる。


この冬は、一度もなべ料理をしなかった。
いっしょになべをつっつく相手がいなくなってしまったから。


夫が亡くなった夜、ご馳走ではなかったが、
私は泣きながらカップラーメンを食べた
その後の辛い時期も、
食べなくては生きていかれないと、辛くても毎日ご飯を食べた

よく使っていた、花の絵が描かれた大好きだった土鍋は処分し、
同じく随分と長い間、鍋料理は封印していたが、
子供が成長し、ようやく今秋、再開したところだったから
石井さんの辛さも痛いほど理解でき、私も辛いことを思い出してしまったが
食というのは、生きるための必須
そして直接、人の生死に関わるものだからなのか
それに伴うあらゆる話は、喜怒哀楽を伴って
妙に忘れられないものなのかもしれない

posted by マロニエのこみち・・・。 at 09:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月08日

「秋〜の読書と挿絵にまつわる・・・E」

引き続き、読書熱が続いています

本など読まずに、溜まっている仕事を片付ければよさそうなものですが
とにかく今年の冬は寒すぎて、エアコンだけでは手先も凍り
全く仕事になりません・・・
秋口、検討した石油ストーブを、やはり購入したほうがよかったかも・・

とにかく一刻も早く布団に潜り込んでしまおうと思っても寝るのも惜しく
子供の冬休み中、早起きをしなくてよかったので
つい夜更かしで、本を読むことが続いていましたが
どうもそのサイクルに慣れてしまい、昨夜もその前日も、
子供に付き合って早く布団に入ったまではよかったのですが
ものの二時間もしたら目が覚めて、結局眠れないので
深夜、また本を開き、しかもお腹が空き過ぎて耐えられず
結局は飲み物や、軽い夜食をとってしまうという悪循環・・
早くここから抜け出さなくてはなりません・・・;;

読んだ本も悪かったのかも・・
石井好子さんの本を続けて三冊
今日はそのご紹介です

まずは、女ひとりの巴里ぐらし (河出文庫)

他に何かなかったのかと、表題がいまいちな気もするのですが
本の内容は興味深く素晴らしいもので
昭和28年5月2日〜翌年4月30日まで
作者がパリ、モンマルトルの【ナチュリスト】というキャバレーのレビュで
歌われていた頃の思い出話を中心に綴られた作品・・
この本には、お腹が空くような食べ物の話は殆どなく
以前、こちらで書いた

『着飾ってナイトクラブから出てくる人々や、街の兄(あん)ちゃんたち、
花売り、娼婦たちのゆきかうのを眺めながら・・・』

など、パリの裏町のキャバレーの、華々しい舞台裏で繰り広げられる
ダンサーやマヌカン、女給、芸人などといった人たちの
陰影に満ちたリアルな生活が、哀歓溢れる巧みな筆で描かれています

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随分レトロで重厚な表紙だと思ったら、荻須高徳さんでした
カバーのデザインは、佐々木暁さん
帯&見開きに書かれた単行本の袖文から引用した文章も、
三島由紀夫氏と、格調高く豪華です

文中には、古いシャンソンの歌詞もたくさん引用されていて
それらの曲を聴きながら読み進むのも、
更にロマンティックでまたよし・・

魅力的な表題の付いた章に分けられていて
キャバレーとの契約が切れ、共に暮らした楽屋から
各々が旅立ってゆく作品最後の【夜明けのパリ】
センチメンタルな冒頭の【女の部屋】
歴史的ドキュメントとも言わしめた【パリで一番のお尻】など特に秀逸


次は、●私の小さなたからものと●バタをひとさじ、玉子を3コ

先の【女ひとりの巴里ぐらし】は河出文庫で、
こちら二冊も、同じく河出書房新書ですが
前回記事の漱石の本にしても、河出の本は、さりげなく装丁に凝っていて
文庫のフクロウのマークといい、こだわりを感じ、とてもお洒落ですね
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こうして並べると、古書で買った【私の小さなたからもの】の帯が
何色だったのかと気になるところですが
イメージとしては、多分ピンクでしょうか・・

どちらも二枚カバーのような凝った作りで、
イラストも装丁もイメージが統一され、
本の内容に合ったカラーが使われています
文庫と同じく、デザインは佐々木暁さん
文中にも登場する線描きの可愛いイラストは、佐々木美穂さん

さて、内容ですが、たからもの・・の方は、タイトルどおり
石井好子さんの大切な宝物とされる人、モノ、動物、出会いなどが
ロマンティックな表題と短文で綴られています

キャバレーのお客様でもあった、藤田嗣治さんの子供のデッサン、
ハンブルグの絵皿、益田義信さんのミモザの絵、中川一政さんの表札、
銀のレモン絞り、銀のスプーン、楽譜、ティーセットは写真があります
他の素敵なモノたちの写真もぜひ見たかったと強く思うのですが
あれこれ空想するのもまたよし・・ということでしょうか・・
筆者の品のよい趣味や、飾らない性格、交流の幅広さや深さが垣間見れて
溜息混じりでうっとりしてしまいます

つい先日、たまたま、女優の寺島しのぶさんが、
藤田嗣治のアトリエなどを紀行されている番組を観たので
映像がよりリアルにイメージできて興味深かったです

【バタをひとさじ、玉子を3コ】は、
巴里の空の下・・を超えるような美味しい話題のてんこ盛りで
まさしく夜中に起きて読むには、かなり辛い状況の本でした(^^;

本来、バタ、生クリーム、粉、チーズたっぷりのお料理は
それほど好みでもないのですが、
それでも食べてみたい、作ってみたい・・と思うような
レシピもたくさん載っています
他、古いお店の話題や、食、歌などにまつわる思い出話も満載
【女ひとりの・・】の中の秀逸作【パリで一番のお尻】は
こちらにも収録されています

ちょっと面白かったのは、ご自身が開くことになったお店
『メゾン・ド・フランス』のことを
控えめに紹介されている項なのですが

レストランを開くと友達に言ったら「オムレツを出すの?」と、
十人が十人まで言ったのには驚いた。
『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』という随筆を書いて以来、
私はまるでオムレツ屋のように思われているようだ。
それならやはりと、オムレツもメニューに入れた。


というところで、筆者ならずとも、思わず苦笑してしまう
その他の本の中でも、石井さんは、オムレツとの因縁?について
当惑気味の文章を書かれてはいるものの
ここでオムレツなんて決して出さないわ・・などとヘソを曲げず
レシピまで公開されているところに、人柄のよさや、懐の深さ、
ユーモアまでを感じて思わず笑いを誘われました

二冊とも、最後に、石井さんの秘書をされていた、
矢野智子さんのあとがきが載せられていて
先生と書かれた敬慕に溢れた控えめな文章に、思わず目頭が潤んでしまった・・

posted by マロニエのこみち・・・。 at 10:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月30日

「秋〜の読書と挿絵にまつわる・・・D」

読書の秋口から始めたこのシリーズ
読むのは寝る前のほんの僅かな時間だけなのですが
これが習慣になってしまって
同じく夜の珈琲も習慣になってしまい中毒症状
珈琲を飲む→頭が冴える→ついつい読書時間が長くなり夜更かし
困りましたね
でも、熱があるうちは続けます(笑

漱石の次男、夏目伸六氏の書かれた、この二冊を続けて読んだ

猫の墓―父・漱石の思い出 (1984年) (河出文庫)
父・夏目漱石 (文春文庫)

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まず、猫の墓から・・・
こちらには、お父様の思い出話以外に
伸六氏ご自身の思い出話が数話、収録されていて
岩波文庫の創設者との交流を書いた【岩波茂雄さんと私】も面白かったが
最も印象に残ったのが、【「愛馬」進軍譜】

これは、氏が太平洋戦争で、中国大陸を転戦した際、
召集された馬方部隊で馬引きをしたときに
小柄な栗毛の牝馬だった「愛馬」との思い出を綴ったもの
わざわざ「」で記しているのは、文中にもこうあるからで

もともと、「愛馬」などと云う言葉を好む程、軍国調の人間でもなかったのだが、因果なことに・・・・(略)・・・・朝から晩迄、尻を追われ通して来た為か、
自嘲と揶揄のやけくそまぎれに、心にもなく
「俺の愛馬が、俺の愛馬が」と、反語の意味で繰り返しているうちに

という表現の通り、
私がそれ以上に、彼女を愛して居たかどうかは疑わしい。


荒涼とした戦地で、散々「愛馬」に手こずらせられながらも
生死を共にし、病や出産など数々の事件を経た後、
ついに内地帰還の日が訪れて、別れるまでの日々が綴られている

重要なのは、今の時代と違い戦時中だということで
好きでお世話をすることになったわけではなく
仕方なく出会い、運命を共にして、別れるのも運命という
何とも刹那的な関係・・・

『自嘲と揶揄のやけくそまぎれ』が随所に現れていて哀感があり
特に最後はどうしようもなく切なくて仕方がないのだけれど
これ以外の、父、漱石や、肉親のことを書かれた作品などにも
同じく切なくも、おかしみがあって温かい
独特の筆の香りが漂います

最後に締められたお兄様の夏目純一氏の解説が
更に温かさと優しさを添えて泣きたくなる
読後感はすごくいい
解説のところに、「愛馬」を引く著者の写真も載っている
カバーは巌谷純介となっていますが、切り絵風の猫と漱石
バックは猫が破った襖のようなデザインで凝っています♪


続いて読んだ【父・漱石】は、お父様との思い出話や
その周辺のお弟子さんたちのことが主に綴られていて
漱石の作品が書かれたときの周辺のエピソードの真実を知る上で興味深く
ぜひ、漱石全集を揃え、各々を照らし合わせながら
改めて読み直したいという気持ちになる
この二冊には、重複している作品が数話ありますが
これらは特に欠かせない名著です

潔癖症で、欝症で、ノイローゼで、胃弱で、立派な血筋の家に生まれながらも
肉親にも経済的にも恵まれなかった寂しい幼少期
驚くほど幅広い交友関係をもち、面倒見がよく正義感に溢れ、情に厚かった漱石

同じく9歳のときに父を失い、
殆ど父親との、良い思い出も持たないままに成長し
大人になってからその作品に触れ、親しみを抱くようになった後
聞き取りや思い出を通して、事実を歪曲せずに伝えたいという思いで
常に超えられない思いを抱きながらも、父と同じ筆を持つ仕事に携わった氏
やはり父子・・という思いを持つし、
作品を通して、この一家の体温に触れると
小春日和、縁側で本を読んだときのような
木の匂い、紙の匂い、日向の匂いを嗅ぐような心持・・・
何度も記したように、「温かい」気持ちになれます
名著は読むべし!

岩波の漱石全集、中古で(^^;)揃えたいと思います!



・・・追伸
今さらではありますが、改めて・・・
漱石の享年は49歳
・・・・・年下?嘘やろ;
死因は胃潰瘍
・・・・・え====;;

先記事の詩人たちの没年齢も合わせ
医学の発達した現代に生きる身としては、
どうしても、う〜〜〜ん・・・・・・・・・となります
残念です
もちろん、胃潰瘍でなくとも、
他の病気で亡くなる可能性はあるのですが・・

posted by マロニエのこみち・・・。 at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月21日

「秋〜の読書と挿絵にまつわる・・・C」

もう秋とはいえない季節になってきたので
このシリーズの名前も少しだけ変わりました

先の、森茉莉さんの作品の中でも、
名前を変えてたびたび登場する室生犀星
この『ちぐはぐ』な、お二人の様子がとても面白いのですが
森茉莉さんは、犀星のことを、とても慕っていたらしく
小説の仕事が来たときも、真っ先に相談に行ったのだそうで
次はそんな犀星の本を棚から取り読んでみました


我が愛する詩人の伝記 (1966年) (新潮文庫)



犀星が69歳のとき、雑誌【婦人公論】に連載された文章をまとめたもので
今は亡き11人の詩人たちとの交流を書いたもの
その詩人たちとは次の方々である

北原白秋、高村光太郎、萩原朔太郎、釈迢空、掘辰雄、立原道造、
津村信夫、山村慕鳥、百田宗治、千家元麿、島崎藤村


まず興味を持ったのは、立原道造と百田宗治
立原道造は、好きだった八木重吉とはまた思いが違い、
高校時代の遠い憧れの詩人だった

その人物像は、『ゆうすげ』の花咲き乱れる軽井沢の草原を
清らかに吹き抜けてゆく風のようなイメージで
詩集を手にし、乙女だった頃(?)の私の夢が
どれだけ膨らんだことだろう・・

数年前、東京に行った際、本郷の弥生美術館に併設されている
道造記念館に立ち寄った
余り時間がなかったので、ゆっくり出来なかったのが残念だったけれど
自筆の建築画や、原稿などを観た後
可愛い積み木の家のようなパステル画の葉書や
同じく自筆のイラストの描かれた一筆箋などを、記念に買って帰った

今度ゆっくり出来るときは、また来ようと思って
後ろ髪引かれる思いで出たけれど
諸事情あって、今は閉館されてしまい、残念でならない

そんな道造を描いた犀星の文は、
同じく文学の後輩にあたる堀辰雄、津村信夫と共に
年下の、まるで年の離れた弟か、甥などの身内のように
可愛くて仕方のない人物として描かれ、温かさに満ちている
それだけに、まだ志半ばで夭折したこの三人に対しての思いは深く
『伝記をかくときだけに彼らは現れ、私は話しこむのである』
という最後の記述が哀しい

百田宗治は、同じく高校時代の、そして今でも
最も好きな詩のひとつとして暖めている詩の作者だから
かなり期待して読んだのだけれど、悪いとは言わないが
私が勝手に描いていた人とは、イメージの違う人だったので
少しだけガッカリした

他、特に生涯の友であった萩原朔太郎と、
仲間である 千家元麿はとても魅力的に描かれていて
千家元麿などは、今まで全然馴染みがなかったけれど
紹介された詩の全部が、その人物像と共に
ぐいぐいと心の中に入り込んで来る

萩原朔太郎は、教科書で、月に吠えるを読んで
近寄ったら、尖がった透明のガラスの先で怪我しそうな
とても繊細で怖い人・・・のイメージしかなかったけれど
そうなのか・・そういう人だったんだとホッとしたし
全く性質の違うこの二人の詩人が、
まさか生涯の友となるとは思えないような
出会ったときの描写がとても興味深い

そして、面白いのは、『愛』だけではない『愛憎』が
特に、高村光太郎と、島崎藤村、一部 山村慕鳥への思いに
隠さず向けられているところがとても面白く
最後に、完璧な名解説をされている、伊藤信吉による
『十一人の伝記をとおして、実際には十二人の伝記が語られたのである。』
という言葉通り、まさしく他の詩人を描くことで
詩人であった室生犀星そのものの
ユニークな人物像が浮き彫りになっている

犀星の詩と言えば、小景異情
まさしく故郷を離れて33年になるけれど
今でこそ故郷のことを語れるものの
若き日は、故郷の思い出を封印し、
この詩を常に心に抱いて噛み締めながら
どれだけ自分自身の励みや支えにしてきたことだろう・・・

この中に、好きな詩人がいる方も、そうでない方も
実在した素晴らしい詩人たちの軌跡や、かつての日本を知る上で
一読の価値ある名著だと思う

それにしても思うのは、かつて文壇の詩人たちは
これほどまでに、お互いの間を行き来して、交流していたのですね
今の時代と違い、簡単には連絡が取れないし、情報もないだけに
余計足を運んで、交わることが多かったのかもしれませんね・・

才能ある人たちが、病にかかり、
いとも簡単に命を落としてしまったかつての日本
交流のあった人々と死に別れ、一人だけ生き長らえたことを哀しみながら
思い出して書く事で、再びその人たちに出会うことが出来たと言うモノ書きの性
そして、やはり、その室生犀星
恵まれない生まれ育ち、苦しい生活やコンプレックスを抱えながら
ペン一本でここまで文壇での地位を築いた軌跡がすごい!
やはり超ヘンジン森茉莉さんまでが認めるだけのことはあります

そしてまた元に戻って、立原道造なのですが
今改めてお写真を拝見すると
この頃よく見かける高校生、ネガティブモデルのR君によく似ていますね(笑


・・・本の表紙は山口蓬春
梅の木は、犀星によく似合う

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2012年11月29日

「秋の読書と挿絵にまつわる・・・B」

次に手にした棚の本は、森 茉莉さんの【贅澤貧乏】

この本に出会ったのは高校時代で
当時、友達の友達の友達だったMさんという同級生と文通していたのだけれど
そのMさんが紹介して下さった短大生のお姉さんとも
Mさんを介して文通が始まった

Mさんとそのお姉さんは従姉妹同士で、家もご近所で
大きな農家の跡取娘と言う育った環境も同じで、苗字も同じで
二人とも、すらっとした美人だった
今も多分そうだろうと思うけれども
当時から宝塚の大ファンで、二人でレースやリボンの付いた
白いお姫様ドレスなどで装いながら
月一か、二ヶ月に一度ほどの割合で、徳島から神戸まで水中翼船に乗り
劇場まで足しげく通っていたのだった
そのお姉さんが、

・・・森茉莉は、もう読まれた?とても素敵よ・・・

とおっしゃるので、いそいそと本屋に行った
買ったのは、多分、新潮の文庫本で、表題作の他
【恋人たちの森】【甘い蜜の部屋】などが入っていたと思う
今でも、森茉莉と聞くと、深まりゆく秋の気配と共に
文通で使っていた、小さな枯葉が舞うイラストの便箋や封筒
ローズ色の軸のセーラー万年筆に、すみれ色のカートリッジを入れて
ワクワクしながら書いた手紙等々・・・
本の内容さながらの、ロマンティックなモノたちが浮かんでくるのだ

その文庫本は、数々の引越しとともに何処かに行ってしまったけれど
数年前にまた思い出し、この本なら、ハードカバーで持っていてもいいなと
古本で(古本が多くてすみません)買っていたものだった

贅沢貧乏

栞代わりに挟んでいる蔦の葉は、拾った落ち葉だけれど
大きすぎて少しだけ先端がはみ出すので、
はみ出す部分をクルクルと変えながら使っているが
【紅い空の朝から・・・】などを読んでみても
この枯れかけた大きな蔦が自分の著作に挟んであることに、
ヘンジンで、洋物かぶれで、気難しく生活能力の全くない
童女がそのままお婆さんになったようなロマンティックな女流作家は
怒ったりしないだろうと思われる
多分、大好きな色であり、アイテムなのではないかと思ったりする

『…朧ろなオリイブ色や鈍い黄色の濃淡、水灰色、柔らかな煉瓦色・・・』
『…露草とアスパラガス、薔薇、小百合の葉、なぞの枯れた花束の下に、
ボッチチェリの春の女神が三人…』
『…紅茶の輝き、無糖コンデンスミルクの澱んだ白、
ボッチチェリの薔薇の花の茶碗、透明なミルク入れ、
濃い菫色に光るアルマイトの菓子入れ・・・』


などの表現を読むと、実際にどんな色の組み合わせでどんな部屋なのか
久しぶりに絵の具を取り出し、パレットに色を広げ
挿絵やイメージ画のようなものを描きたくなるし
硝子に陶酔している硝子フェチの記述などは、
同じくどんなガラスでも捨てることが出来ず、
中でも私の一番のヒットを、森茉莉風に表現すれば

・・・波や、ダイヤの繊細な彫刻の施され
ボッチチェリの女神の腰の丸みのような、
陶酔する程に美しいアーチの描かれた
丸型のシルエットの海苔の佃煮の空壜と、
かつては琥珀色に輝く透明な胡麻油で満たされていた
今は夕暮れの深い紅色や、明方の空のような黄金色をした
芳しい菊の花束が入れられ、我が住居の薄い水色のタイルの貼られた
トワレットに飾られている空壜の花瓶は・・』(笑)


だと歓喜している私なので、もし今もお近くでご存命ならば、
きっと愉快なガラクタ談義が出来たのでは・・・と想像するだけでも楽しい
そして、唯一得意だったと言われている料理や、食べ物の記述も素晴らしいが
中でも大好きだとおっしゃる『英吉利チョコレエト』を齧るところは
深夜、こちらまでチョコが食べたくなり、でもチョコの買い置きはないので
珈琲を濃い目に入れて飲みながら読んでいたら、
結局頭が冴えてしまい、最後まで読んでしまったので
翌日は、少々睡眠不足で困ってしまった

そんな森茉莉独特の世界だけれど、二度の離婚、貧乏な一人暮らし
何か書かなければ明日の食事にも困るというような
実際のところ想像するに、かなり逼迫した辛い状況ではあったわけで
若い頃に読むのもいいけれど、書かれた当時の実年齢に近くなればなるほど
より味わいを持って読むことができることを認識した

この作家の生存の頃の逸話に触れるたび、
現実にこんなお婆さんが近くにいたら、
迷惑極まりない話なのかもしれないが
この京都と言う土地もかなりのヘンジン揃いのところなので
事実、よく似た老女を私は何人も見てきたし
どちらかと言えば、お友達になれる要素は多々あるのである

そして、最も興味深かったのは、随筆や小説を書く苦難が
割と正直に書かれていることで
しかも、自らは他人の悪口や非難などが大好きなくせに
意外にも他人の評価をとても気にしていたというところなど
お嬢様気質の抜けない憎めない可愛らしさや、親しみのようなものを感じる

そして、ご自身は、この表現が大嫌いだとおっしゃる『ユウモア』
この『ユウモアではないおかしみ』が、森茉莉自身にも満ちている
名前を変えて、度々登場してくる室生犀星が
森茉莉ならぬ『牟礼魔利』(むれまり)のことを表現している箇所は
あまりの可笑しさに、深夜一人で声を上げて笑ってしまった程だけれど
こうしてかなり冷静に自己分析し
それを他人に言わせるという究極の自虐ネタで作品を作ってしまう筆力は
生活能力とは別のところでの生きる能力というのか、
作家の作家たる凄まじい性と鈍感力と、究極の『おかしみ』
そして生きることの哀れ(あはれと表現したい)を感じる・・・

表題作以外に【青い栗】という前期の作品が載っているが
あまり装飾のない文体が新鮮で、醸し出されているアンニュイは
私の一番好きな原田康子さんに通じるものがあることも初めて知った
そう思うと、お顔もどことなく似ておられるような・・

ところで、その原田康子の【挽歌】
これもわりと最近、文庫本バージョンが欲しくて買った古本だけれど

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中学のとき、購入した記念すべき文庫本の表紙は
左右に大小の木が、紫や芥子の大胆なタッチで描かれていたもので
こちらは同じ木でも、北大のポプラ並木のようだけれど
サインを見ると、同じ人に間違いなく
『yasu』と筆記体で書かれている

そこで知りたいのは、この挿絵画家のお名前なのだ
多分、昭和4、50年頃、ご活躍されていた
挿絵画家ではないかと想像しているのだけれど
何方かご存じないでしょうか?
今のところ、全く情報が見つかりません

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2012年11月26日

「秋の読書と挿絵にまつわる・・・A」

次に手に取ったのは、川端康成の【川のある下町の話 他一編】

これは、川端康成が53歳、昭和28年の作品だそうで
前年に、芸術院賞を受賞した【千羽鶴】
翌年には野間芸術賞を受賞した【山の音】が生み出されていて
その間に、雑誌【婦人画報】の連載小説として
一年を通して書かれた作品と言うことである
こうして年譜を探るだけでも、
作家として脂の乗り切った時代のものだと思わせられる

ばくっと説明すれば、医大でインターンをしている二枚目の学生が
女子3人にモテすぎて困っている・・・というチャラい話になるのだけれど(笑
何分時代背景が戦後・・
舞台は題名どおり、川のある東京の下町で
バラックが残る焼け跡に新しい家が次々に建てられ
そこで運命に翻弄されながらも、真摯に生き方を模索している
いずれも魅力的な美男美女たちのお話なのである

美少女が流れ着く先は、米軍基地のあった福生で
当時の福生の町の描写も、よりレトロ感を出しています
そう、とにかくレトロ・・
そして、幾分メロドラマ風ではあるものの
登場人物が全て善意の人で、哀しいけれども、どこか温かい
子供の頃から身内の不幸続きで、
辛い幼少期を過ごされたと言う作者だからこそ
この本に出てくるような人の温かさを
人一倍求めていたのではないだろうかということを感じたりする
とにかく、この川端康成先生の作品は、
まさか53歳のオジサンが書いたとは思えないくらい
とてもメルヘンで乙女チック・・
いやはや本当に毎回驚かされています

・・・といいながら、悪ふざけの横道に逸れるけれど・・・
・・・若い頃の川端康成さんって、氷川きよしさんに似てませんか?(^^;;

さて、この作品は、昭和29年に映画化もされたらしく
古い映画をよく観ている私も流石にこれは未見だけれど

●二枚目の主人公に、根上淳
●薄幸の美少女に、有馬稲子
●実は恋愛感情を持つ友人役に、山本富士子
●主人公を慕い、健気に尽くす従姉妹役に、川上康子
●美少女を助けて死んでしまう心優しいチンピラ役に、品川隆二

・・・だそうで、かなりの適役だと思うけれども
主人公は、クールなイメージの根上淳よりは、どちらかといえば
もっとソフトな、佐田啓二をイメージしながら私は読んでいました
注目は品川隆二(笑
まだ焼津の半次を演じる前の、見た目そのままの二枚目役ですね(笑

この超レトロな、ある意味正統派メロドラマ的小説に
より雰囲気を添えるのが挿絵

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この挿絵画家は、福田豊四郎さんという日本画家で
昭和世代なら懐かしい、あのデンターライオンの、福田豊土さんのお父様です
迷いのない骨太の線、レトロなモチーフがとても素敵!

昨年だったか、百恵さんの懐かしいドラマに出ておられる福田豊土さんを見て
この方って、結構知的なお顔の方だったんだ・・・と思い検索すると
高名な画家の先生のご子息と知り、
そのときに、お父様の絵のことを知ったのだけれど
たまたま買った古本の挿絵で偶然出会って、
これもまた、ある意味ラッキーとでもいうのか、
面白いご縁を感じたのでした

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2012年11月20日

「秋の読書と挿絵にまつわる・・・@」

夏の間は、オールナイトニッポンを聴きながら仕事という
夜更かし三昧の日々を過ごしておりましたが
どうも睡眠不足気味で体調もよろしくなく
また、こう寒くなると温かい毛布の感触が恋しいので
この頃は、できるだけ早く布団に入るようにしています

でも、入ったからといっても眠れないので
溜まっている本を片っ端から読むのが、このところの日課となっております
夜の読書のお伴は、ウェスキー入りのお紅茶であります・・
で、少し前に読み終わったのはこちら・・

お目にかかれて満足です(上) (集英社文庫)
お目にかかれて満足です(下) (集英社文庫)

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本くに子さんのロマンティックな表紙が可愛い・・・

田辺聖子さんの本を読むのは久しぶりで、
最初は、ちょっと苦手な、やたら括弧書きの多い文章や
あっちこっちと話が飛ぶのに少し閉口しながらも
主人公が、大好きな手芸や編物の作品を、
神戸の洋館建ての自宅をアトリエ兼店舗にして、
仕事をはじめると言う設定に興味を持ったのと
その主人公の生み出す作品群・・・
カラフルなニットのワンピース、遊び心のあるバッグや小物類、人形など
懐かしい70年代の匂いがプンプンして
古い洋館の描写も素敵で、イメージが頭の中で膨らみました

また、私の恋人、ユーゾー(サエキ)を長身の船乗りにしたような
魅力的な義弟の存在にも、主人公と同じ目線でドキドキハラハラさせられ、
ごく普通の主婦だった主人公が、
自分の仕事に自信を持ったことで精神的にも自立し、
ちょっとしたことでこじれてしまう愛すべき夫との日常のいざこざも、
軽く受け流せるような大人の女性に変わっていく様が、
実に見事に描かれていました
特に最後の月夜のシーンは素晴らしく、
いつのまにか、魔法にかかったように、本の世界に惹きこまれ
あっという間に上下読み終わりました

流石に数々の賞を受賞している田辺聖子さん、
やはり只者ではないなと言うことを認識させられました

そして読後の解説を担当している林真理子さん
これがまた憎い・・・
本当に心憎くなるほどに、適切かつ上手い表現をなさっています
女流作家、恐るべしです

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2012年04月22日

【黒髪―他二篇  近松 秋江】

私が伏見区に移り、すぐに来て下さったお客様なので
お付き合いとしては10年以上になるのだけれど
お好きなシャツのオーダーを年に1、2度程賜るくらいで、
あまり個人的なお話をしたことはなかった

しかしながら、2年ほどブランクが空いた後
今のあとりえにお越し下さった一昨年くらいから
ここの家では普段リビングとしても使っている部屋にお通しするため
壁に並んでいる棚の本なども見ることができるので、
・・・あら・・私と趣味が似ているかも・・なんていう話から
読んだ本の情報交換をしたり、CDやビデオを貸し借りしたり
実は本を書かれていたということもわかって
その御本を頂戴したりするようなお付き合いが始まった
これは、その方に教えて頂いて面白そうなので古本を購入し、
昨年の秋に読んだ作品である・・・

この記事のタイトルで検索すると、情痴文学と真っ先に出てくる
情痴と聞けば、いわゆる濡れ場的な描写などが
出てくるのかと想像してしまうのだけれど、そういう箇所は一つもない
ただ、小説家の男が、一方的に好きになった祇園の芸妓のことを
ああでもない、こうでもないと一人で思い悩み
通えないときにはお金を送り、
いつかは自分ひとりのものになるのではないかと夢を見続けた挙句
また体よく振られて悶々とし、ちょっとした事件なども起こしながら
結局は埒明かないという読んでいるこちらまでが、
イライラ悶々としてしまうという、とても不思議な小説なのである

これは、新書では、黒髪だけで、他二編が編集されていないので
黒髪だけ読んだのでは埒が明かないと思う
全部読んだからといって、埒明くわけでもないだけれど・・(笑

しかしながら、感心してしまったのは、この『女』の京言葉を、
作者が何ともうまく描写しているところなのである
この本が示すように、本当に通い詰めて、女の一言一句を聞き漏らさずに
耳と脳に収めたに違いない
昨今ならば、いかに京都ネイティブでも、ここまで古風な京言葉を
話せる中高年、若者はいないだろうと思うからだ
そして、暗く湿っぽい独特の祇園町の佇まい
それも古の明治の頃の・・・が描かれていることで
経験しがたいような、独特の空気を感じることができる
ディープな京都を知りたい方には、ぜひともお勧めしたい小説である
この本が、好きかどうかは別として・・・(笑

ところで、このお客様と、読後感をメールで話しているときに
この後の展開はどうしたいかという話題になった
私は迷わず、この男の願いを、女がいよいよ断りきれなくなって
二人で駆け落ちでもしたものの、不慮の事故にあってしまい女は死ぬ
さて、遺された男は、いつまでもこのことを後悔し続け
女が死んでからも、悶々と思い悩めばいいのだと言った

・・・中田さんて、流石に想像力が逞しいですね・・・
とお褒めの言葉(?)を頂いたが、
いつまでも断るでもなく男から情けを受け続けても何とも思わない
馬鹿で情のない女は死ねばいいし
独占欲だけで迷惑も顧みないどうしようもない哀れな男は
罪を犯してその罪を一生背負い、それでも尚、女を思い続けていればいいのだ
それでもこの男は、多分幸福に違いない・・・というのが
この話で悶々と暗い情緒を楽しませて頂いた一読者である私の感想なのである

これという事件もないのに、延々と読者を引っ張ってくる
文章力、表現力は、凄まじいものがあると思う
多分、この女も、このしつこさに、断れ切れなかったのかもしれない
そう思うと、殺してしまうのも不憫な気がするが・・・

そしてまた、新書で見ると、この作家
他にも妻に逃げられた作家のことを書いているようである
これも間違いなく自身のことだろう・・・
本当に目出度いというのか、不幸というのか、幸福なのか・・・
懲りない男がいたものである
しかしながら、これは間違いなく名作(迷作)だと思う


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2012年02月24日

「3月になれば」

先日の、忘れな草の歌や、亡くなった役者の古いドラマの話と言い、
2月は誕生月のせいでもあるのか、思い出の多い月なのだ

こうして夜になって思い出すのは、
かつてこんな2月の夜に読んだ少女マンガのこと・・・

小学校に上がる頃まで、絵本や童話に加え、ありとあらゆる少女マンガや
雑誌の類を買って貰い乱読していたのだけれど
その後は何故かプッツリと、マンガとの縁が切れてしまった
理由は思い出せないが、また何かのきっかけで
小6のとき、随分久しぶりに手にしたのが【別冊少女コミック】・・
そのとき初めて出会い、不思議な世界の虜になったのが
タイトルにある大島弓子さんの【3月になれば】で
その後、数年間、素敵な作品との出会いを楽しみに
毎月『別コミ』を買う事になる・・・

・・・まだ2月の、風の強いこんな日だった・・・

物語は、確かこんな文章で始まっていたように記憶している
今まで少女マンガに抱いてたイメージ・・
線が強く、華やかで、瞳に星の入ったヒロインの顔
お涙頂戴の、あり得ないストーリー・・
それはそれで、面白くはあったのだけれど
この作品は、そんな少女マンガのイメージを払拭するような、
とても斬新なものだった
黒が少なく、細いペンで細々と描かれた繊細な線・・・
特に特徴あるのが、木漏れ日の表現
フワフワの長い髪のまるでニンフのような少女
テツガクテキな言葉を静かに話す背の高い痩せぎすの男性など
華やかさはないけれど、心に残る抒情詩のような独特の世界が溢れていた

しかしながら年表を見ていると、それ以前も大島作品には出会っていたのだ
記憶に強く残るのは【戦争は終わった】で、
どちらかといえばとても怖くて暗く、苦手な作品だった
当時とイメージが違っていたので、
同じ作者だと気が付かなかっただけなのだけれど・・

その理由も、大島弓子 - Wikipediaを読んで判明したが
当時の少女コミックの自由な環境が

>今までとは異なったテーマを異なった形式で描くことに自らを誘発した

のだそうで、ちょうど拠点を少女コミックに移してすぐの
大袈裟に言えば、運命を感じる出会いだった
まさしくその自由な環境のせいなのか、その他の作品も
少年同士の同性愛をテーマにした竹宮恵子さんや、
バンパイアの萩尾望都さんなど、斬新で心惹かれるものが多かった

これらを思い出していると、当時のことが
まるで古い音楽を聞いたときのように、鮮やかに蘇るから不思議なものだ
当時私は、二階の北側の部屋をあてがわれていたが
エアコンなどない時代なので、ガラス戸の隙間から北風が忍び込んだ

ベッドを買ってもらったのは、それよりずっと後なので
押入れの襖を取り外し、上段に布団を敷いてベッド代わりにしていたが
その押入れの天井や木の壁には、カレンダーや、
マンガの綴じ込み付録のイラストや
当時好きだった郷ひろみのポスターを貼り、城にしていた

ガラス戸が2月の風にガタガタ揺れる音を聞きながら
布団を頭から被りワクワクしながら大島作品の世界に浸った
石鹸のような、薄甘い香りも思い出すのだけれど
それは多分、当時使っていたエメロンシャンプーの匂いだと思う
ドライヤーなどなかったから、お風呂上りは湯冷めしないように
とにかくタオルで頭をしっかり拭いてすぐに布団の中に潜りこむのである

その後の【わたしはネプチューン】や【なごりの夏の】からは、
あの木漏れ日や、白い綿のワンピースや蝉の声が・・・
【雨の音がきこえる】からは、刻一刻と深まる秋の気配と菊の香りが・・・

作品名を見ただけで、当時の空気感まで思い出す
私もマンガを描いてみようと、自転車を立ち漕ぎし
隣町の文房具屋へケント紙やらGペンやら定規やらインク壷やら・・
いそいそ買いに行ってはみたものの、簡単に挫折したが、
高校時代、それと時を同じくし、大島作品の別コミへの掲載が
少なくなったことをきっかけに私のマンガ熱も冷め、
武道館へクラブの練習に入る前には、必ず三日を開けず図書館に通い
福永武彦や、伊藤整や、中野重治などを乱読する文学少女になったのだ

・・・あの頃の大島弓子の作品を、もう一度読んでみたくなった・・・

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2011年12月02日

「近況&南極本あれこれ」

しばらくご無沙汰してしまいました;;
コメントを頂戴していた皆様、またまた失礼を致しました

鬼の霍乱などと言うと大袈裟ですが(^^;
一週間程前にケイヨウが高熱の風邪を引き
それが何とか治まったかと思う頃
私もどうやらうつされてしまったようで;;
ブログに向かう気力がございませんでした(すみません;;

私のは風邪と言うような症状は殆どなく
とにかく首のリンパ腺が腫れ、微熱が出ています
体の節々が時々痛みます
一応、いただいて来たお薬をのむと、少し治まりますが・・
普段病気にかからないものですから、7度5分程度の熱でも堪えます(^^;
ところが、ケイヨウの風邪は、39度越えの高熱でした
発熱したのが先週の水曜の深夜・・
前に頂いていた解熱剤をのませると、朝になって平熱になったので
ひとまず一緒に学校へ・・

実はその日から、学校の学習発表会があったのでした
ケイヨウの出番は、翌日の金曜だったので
木曜は早めに病院に連れて行きゆっくり休養・・
その日も熱は出ましたが、金曜の朝も平熱だったので
再び一緒に学校へ・・・
そのまま、11時からの発表を見ました

毎年元気いっぱいの発表会ですが、今年は流石にテンション低め
それでも、毎日練習してきた鍵盤ハーモニカで
【山の音楽家】の演奏を無事、終えました(^^;;;
しかしながら、ほんの微熱で参っている自分なので
この日のわが子の頑張りには頭が下がりました;;
息子よ、許せ、こんな日でも休ませなかった鬼母を・・・(^^;
今年の風邪は、色んなパターンがあるようで
ちょっと厄介な風邪もあるようなので
皆様もどうかお気をつけくださいませ

ところで、素朴な疑問ですが、
私たちの頃は、ピアニカと言っていたこの楽器
何故、鍵盤ハーモニカになったのでしょう?
いつから?何故?
昭和生まれ、子育て初体験の私には、こういう疑問、よくおこります

さて、そんなこんなで日々のリズムが狂い
それでも仕事は次々入り、来客もあり、予定も山積みで
あれやこれや、手を付けつつも仕上がらない仕事は溜まる一方で
そろそろ暮れの忙しさや、しなくてはならないこと、したいこと諸々・・
なのに体調も気力もいまいちで、ストレスも溜まる一方でございました

熱のために、食欲もなく、お酒も飲めず
ストレスを埋めるには、物欲、知識欲を満たして発散することに・・
そんなワケで今揃えた本がこちら・・・♪

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とにかく【南極大陸】にハマる今は、関連本ばかりです
加えて在庫切れになっていた二冊が、明日辺り入る予定です(笑

この中で、ひとまずドラマの原作本である
【南極越冬隊タロジロの真実】(北村泰一氏・著)
を走り読みしてみたのですが、とにかく面白い!!
タロ、ジロ、リキ以外の犬たちの逸話も盛りだくさんで
作者の思い、かつて頑張っていた犬たちの愛しさ、たまりません
そしてやはり泣けて泣けて仕方がありません
ドラマに関しては、視聴率がどうの、キムタクさんの演技がどうの
茶髪が、犬が可哀想・・等々と
あれこれ言いたい方がいらっしゃるようですが
そんなことはどうでも良いです
とにかくこれは史実であって、犬のみならず、当時観測隊だった方々は
まさしく人間モルモットだったわけなのですが
そんな状態でも南極に上陸し、越冬した勇気、情熱、使命感、
忍耐力、知力、気力、体力、そして無念・・
戦後まもない時代のこんな熱い物語があり、そして今があるのですから

細かいところが原作に忠実で、人物描写が実によくできていて
出演者の皆様、スタッフ、とにかく頑張っています
もしかしたら、前作の映画を超える出来なのでは?
キムタクさん演じる倉持は、モデルである菊地徹氏と、
山本裕典さん演じる犬塚のモデルである本の原作者、北村泰一さんを
ミックスしたような魅力的な役どころで、
むしろどちらかと言えば、北村さんよりの人物像かと思いますが
それを役以上に上手く演じられています(キラキラ光る瞳が美しい♪)

ただ、今度の日曜のは、犬の飼い主たちに謝りに行く回で
北村さんも、犬の飼い主に対する謝罪については?と言っておられますが
私も同じくそう思います
多分、人気の子役を使ったばかりに、余計な部分が多くなるだろうなと
全部の回の中で最も面白くないんだろうな・・と少し懸念もしますが
それでも、殉職した犬たちの供養のために、私は最後まで見届けます!

本に関しては、菊地徹さんの書かれた物も読みたいのですが
異様にプレミアが付いていて私には買えません
しかしながら、ご遺族の方のご厚意で
今、こんな貴重な資料が公開されています
本は残念ですが、このサイトだけでも充分に楽しめます♪

後、菊地さんの書かれたエッセイが、こちらからも拝読できます
左上の矢印をクリックすると、次ページに移動します
これを拝読してわかったのですが、
この方は出身校である旧制中学が祖父と同じなのでした
そして、Kを受けるといったら、先生に怒られた・・というところも
同じなのでおかしくなりました
こちらのサイトのエッセイも、大変興味深いです

購入したものの中には、ちょっと私の頭で理解できるかな・・
というものもありますし(^^;
宗谷の本も、欲しいのですが、ひとまずこれで・・
頑張って読みますよ〜〜♪(^^ゝ

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2011年02月20日

「待望の新作【バムとケロのもりのこや】」

何気なく立ち寄った本屋さんで、
待ちに待ったシリーズの最新作を見つけました

島田ゆかさんのバムケロシリーズ
【バムとケロのもりのこや】

思わず心の中で叫んでいました・・・というよりも
本当に「わっ」と叫んでいたかもしれませんが(^^;

【あとりえ便り・京都マロニエ通りから】
「待望の新作【バムとケロのもりのこや】」

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2011年02月14日

川端康成【千羽鶴】を読む

武田泰淳のエッセイ、【目まいのする散歩】を少し前から読んでいるが
いまいち文章が好みでないせいか、
なかなか後一歩のところで前に進まないので
小説でも読んで気分転換してみようと、
川端康成の【千羽鶴】を棚から取り出してみた

この本を、自分がいつ買ったのか全く思い出せず
前に読んだのかそうでないのか、それさえも思い出せないのだけれど
こちらは思いがけず惹きこまれてしまい
深夜二時間ほどで読みきってしまった・・;

人の性愛・・いわゆるエロスの世界を
茶道など和の文化に関連付けた表現で、
ゆるぎない美の世界に昇華している
この辺りは、立原正秋に通じる・・というよりも
川端康成を、数少ない尊敬する師と仰いでいた立原正秋の方が
川端文学を相当インスパイアしていたのだということがよくわかった

立原正秋は流行作家で、女性ファンも多かったので
ファンサービスとしてあえてなのか、
男女の交わりに直接的な表現も多かったけれど
川端作品にそのような表現は一切ないのに、同じくらい・・
否、時にはそれ以上にエロい(笑
立原正秋が、剣術家で、韓国人であるというせいもあるのか
とても男性的で力強く鮮やかな切り口でズバズバと切り込んでくるのに対し
川端作品は、もっと控えめというかお上品というのか
日本人的湿気があるというか・・(笑
さすがにノーベル賞作家だなという雰囲気だけれども
美しいものはあくまでも美しく
醜いものはどこまでも醜く表現する容赦ない残酷さは
とてもお二人に共通していると思いました

この【千羽鶴】の最後は暗示的で
主人公と関係を持った母と、同じ罪を背負ってしまった娘が
てっきり母と同じように死を選ぶのかと思ったのですが
あとがきに、続編があるというので検索してみたところ
【浜千鳥】という作品がそれなのですね

主題が【千羽鶴】で、確かにその千羽鶴のところの表現は
秀でて美しいと思いつつも、作品には大して重要ではないのに何で?
と思ったのですが、続編の内容を拾い読みしたことでようやく理解できました
こういうとき、ネット社会に感謝ですね(^^;

近いうちに、この【浜千鳥】と、棚に眠っている川端文学を
もう少し読んで追求しなければと思いました♪

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2011年01月24日

「巴里の空の下 オムレツの・・・」

先日、夕食にオムレツを作ったせいなのか
急に読みたくなって、本棚から久しぶりに取り出した本

石井好子さん【巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる】
(暮らしの手帖社出版)

1960年の【暮らしの手帖・第一世紀】にエッセイとして掲載されたものが
1963年に出版され、以来40年以上一度も絶版になることなく
読み継がれている、言わずと知れたベストセラー

石井好子さんといえば、日本のシャンソン歌手の草分け的存在で
昨年の夏に残念ながらお亡くなりになられたが
岸洋子さんや、加藤登紀子さんなど素晴らしい歌手を
育てられた方としても有名である
私はシャンソンが好きで、
多分たいていの人のCDを持っているのだけれど
何故か不思議なことに、石井好子さんのそれは持っていない
いわゆる偉い方だけに、何となく聴く気がしなかったのかもしれないが
この本を改めて読んでみて、
やはりこの方のCDも持っていなければおかしいだろうと考えを改めた;

海外旅行者も少なかった戦後の日本人において
海外各地に留学し、レビュ劇場などで歌手として仕事をされ、
そんな生活の中で実際に作ったり、街で食べ覚えられた料理のことが
驚くほど飾らない文で書かれている
今の料理本のように、写真があるわけでもなく、
一応レシピは載っているものの、
作り手のアレンジができるよう、至って簡潔に記されているところなど
押し付けがましくない著者の懐の深さを感じる

佐野繁次郎さんによる美しくてモダンで
どことなく可愛らしくて、古き時代が懐かしくなるような
細い線のイラストで表紙や挿絵が飾られている
私がエッセイとして一番好きなのは

モンマルトルのレビュで明け方の3時まで仕事をし
朝の5時まであいているキャフェの窓際で

『着飾ってナイトクラブから出てくる人々や、街の兄(あん)ちゃんたち、
花売り、娼婦たちのゆきかうのを眺めながら、
冬は湯気が立って、チーズをたっぷりかけるオニオンスープをたべたり、
夏はサラダや冷肉を小瓶のブドー酒と・・・』


というくだりだ
少し退廃的な雰囲気の漂う夜のパリの街と、
湯気の立ち上るキャフェの対比・・
こんな深夜のパリの街は知らないけれど、
そういえば、まだ暗い極寒の朝の5時に、
食べ物を求めてサンジェルマン辺りを歩いたことがあった
残念ながら、私が見つけたのは、マクドナルドだけだったけれど・・;
凍えるほど寒いパリの往来を眺めながら、ふうふう頂くオニオンスープ・・
想像するだけで楽しくなる・・

後ひとつ、レシピとして、試してみたいと思ったのは
ドイツ料理の【ザウエル・クラウツ】(ザワークラウト)
これは、かつて恋人と日曜日、京都の街を歩いていたとき
よく利用していた河原町のビアレストランで、
いつもソーセージの隣に添えられていた酸っぱいキャベツのことである
石井さんのレシピを見ると、意外にも簡単に作れるようなので
農園によくキャベツを見かけるこの頃、作ってみようかと思う

いわゆるオチというものはなく、淡々とペンを置かれているが
ケチな日本人とあなどらないため、愛国心を出して
スパゲティや肉を残さずに食べたら、二貫目も太ってしまったと
いかにも食いしん坊の言い訳が書かれ、〆ているのが微笑ましい
そうなのだ・・
食いしん坊は、決まって太ることに、何かの言い訳をつけるものだ
(ていうか、それは私だけ?^^;

ちなみにこの本は、古本屋で買ったので、本の最後のページには
知らない人のペンで、『1988.4.5』と記されていて
本の最初の方のページは、定規で几帳面に線が引かれ
矢印で、ページの上に『オムレツアラカルト』『チーズオムレツ』
などと、綺麗な鉛筆の字が書かれている
ページを繰りながら、先の持ち主さんのことを
あれこれと想像しながら読むこともまた楽しい・・

posted by マロニエのこみち・・・。 at 10:04| Comment(6) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月08日

「あしながおじさん」

編物と読書熱に火がつき、久しぶりに高校時代に戻ったようなこの頃です
読書といっても、新作、話題本を買って読むわけでもなく
今まで買っていながら積読だったものや
捨てきれずに残しているものを寝る前に開いたり
あるいは、先日お客様から更に二冊、合計4冊の著書を頂戴したものを
仕事の合間の気分転換に少しずつ拝読したり・・・
という程度ではあるのですが・・

そんな中、【あしながおじさん】【続・あしながおじさん】を読み終えました
私の小学生時代の愛読書のひとつです
どちらもユーモアと機知とチャレンジ精神に富んだ若く美しい女性が
困難に負けることなく人生を切り開き、
最後にはラッキーにめぐり合えるというシンデレラ物語
それを訳者の表現がとても愉快に引き出しています

ストーリーそのものも退屈しないで面白いのですが
中でも部分的に出てくる美しい服やインテリアを表現した箇所が
幼い私の想像力を膨らませ、今の仕事や趣味に繋がったのではないかと思うのです


それは、茶と黄の調和でなっております。壁は黄褐色に塗ってありましたので、
黄色いあや織り木綿のカーテンとクッション、
マホガニーの机(三ドルの中古品)それから籐椅子と、
中央にインキのしみのある茶色のじゅうたんとを買いました。
しみの上に椅子を置くことにいたしました。

サリーは薄い青色にペルシャ刺繍がしてあって、赤毛にたいそうよくうつりました。

淡いピンクのクレープデシンで黄ばんだ茶色のレースと
ばら色のしゅすの飾りがついていました
三人とも絹のくつしたに、しゅすの舞踏靴をはき、
それぞれドレスに調和した紗のスカーフをしました。



今読んでもワクワクしてしまいます
続・・の方は、ジュディ・アボットの親友、サリーが主人公となり
舞台となる孤児院の子どもたちのために、
ご近所の洋裁の得意な未亡人を連れてきてデザインさせ
各々好きな色で三枚の洋服を作らせるくだりなど
同じく思わず高揚してしまうのでした

さて、あまりにも有名なストーリーなのに
作者のジーン・ウェブスターの経歴までは知らなかったのですが
年譜を読んで驚愕しました

1876年、アメリカで、出版社の経営者である父と、
マーク・トウェインの姪に当り、作者の描く主人公のように
話し上手でユーモアに富んだ母の間に生まれ
幼少の頃から文学的雰囲気の中で育つ
バッサー大学で文学士の学位を得た後、
イタリアに遊学したり文筆を取ったりしたが
在学中に経営学の勉強に関連し、感化院や孤児院の視察をした際の経験が
この二冊を書かせる事になる
あしながおじさんは、作者、36才の作品
1915年、39歳で法律家と結婚、ニューヨークの中央公園の家庭で創作したり
マサチューセッツ州の農園でアヒルやキジを孵化させたりの道楽に興じ
幸福に暮らしていたが、結婚1年後、女児を早産
生まれたばかりの子供と共に40歳を目前にし、
多くの人に惜しまれながらこの世を去ってしまった・・・

読後、主人公や舞台を換え、たとえば赤毛のアンのように、
次々と続編を読んでみたい思いを募らせただけに、あまりにもショックでした
当時は、アメリカでさえも女性の参政権のない時代
まだまだ医療も発達しておらず、高齢出産も、早産も
母子共に命の危険を伴う大変なことだったのでしょう・・
あしながおじさん、そして続あしながおじさんは、
まさしく作家、ジーン・ウェブスター女史が
世に送り出した子供たちなのでしょう・・

改めて、この物語が、時代を超えて、人々に愛されることを願って止みません・・

posted by マロニエのこみち・・・。 at 12:56| Comment(4) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月30日

「やかんにまつわる…【暮らしの手帖47・8-9号】より」

前に書いたこの記事
2007年06月07日「好きなモノ・・・ケトル」

もう四半世紀も前に見たこのケトルを、
今でもイメージしつつ手に取る日を夢見ているのだけれど
今だ目にかなうケトルに出会ったことがない
もしかしたら、私の中で、勝手にイメージが膨れ上がって
現物以上素敵な物に、なってしまっただけなのかもしれないのだが・・

こんな私が、
・・そう!そう!そこなんですよ〜♪と、思わずうなづいた記事が、
今発売中の暮らしの手帖47・8-9号、【やかんカタログ】の中の
『美術工芸品に造詣の深い渡邊かをるさんにお話を伺いました』
の文章なのです
いきなり随分とショッキングな小見出しです

『今のやかんは ほとんど気に入らない』

でも、私はまずこの一文で全く同意!と思ってしまった
私もそうなのです
気に入らない・・・
文の最初、引用です

 やかんはずいぶん前から好きで、最初は集めるというわけではなく、気に入ったものに出合うと買っていました。でも、今出来のやかんは買わないですね。今のやかんの99パーセントくらいが嫌い。欲しいと思うものがないんです。昔のものでも変わってきているんです。昔ながらの日本のやかんで、金色で丸い形をしているようなものがありますよね。あれでも変わってきているんですよ。いろいろな意味でクオリティが落ちている。


文はそのまま、やかんに限らず、
昔ながらのものが変わってきていると続きます
そこなのです
純日本製が少なくなったせいか、ローコスト現象なのか
仕事に必要なものでも、普段の生活に使うものでも、
当たり前のもののクオリティが
どんどん下がってきていることが気になっています
あるいは廃番・・・
本当にいいものは、残してゆく努力を続けて欲しい
でも、これは消費者の願望であって、したくても出来ないのが
悲しい現実なのかもしれません

私がずっともやもやしていたものを、
よくここまで、ずばっと心地よく表現して下さったものだと・・・
スカッとしました
やかんも然り・・
私も欲しいものがありません
新しいもの、何を見ても気に入らない・・
だからこの四半世紀も前に見た、
親戚のお姉さんの使っていたケトルが気になるのです

そんな私が、なら、どんなやかんを使っているんだということですが
頂き物の古びた、もうどうでもいいようなものを使っています
本当に好きなものがないし、
実際のところ、もし好きなものに出会っても、そういうものほど
驚くような値段だったりするものなので(^^;
哀しいかな、コレクションするべき金銭的な余裕もないし
身近にあるもので妥協しているだけなのですが・・;
でも、もし仮にあれが手に入れば、夢はそこで現実のものになってしまう
結局は夢見るだけでいる方がいいのかもしれません・・

渡邊かをるさんの文は、ここからまだまだ続きますが
本当に納得することばかり
中でも、京都の知り合いのバーで見たやかんが気に入り
かなり抵抗されたけど、絶対に欲しいと決めて奪うように持って帰った・・
というエピソードには思わず笑ってしまいました(^^;

posted by マロニエのこみち・・・。 at 10:49| Comment(4) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月10日

「たかみざわとしお著【楽しいお絵描きワールド】」

時々絵の投稿をさせて頂いているネット仲間展のご常連さまが
このたび、めでたく本を出版されました
時々拙ブログにもコメントを頂戴する【keiさん】こと

たかみざわ としお 

さんです 本のタイトルは

【楽しいお絵描きワールド】

仲間展では、お忙しい時間の合間に描かれた
個性的な絵を投稿されたり、私たちが描いた絵に
元気が出るようなうれしいコメントを
こまめに寄せて下さるのですが、
たかみざわさんの絵に対する真摯な思いが
そのまま本になって再現されたかのような
とても魅力的な仕上がりとなっています

たかみざわさんが、毎日のように絵を描くようになられたのは
2007年9月頃、ほんの2年ほど前で、
授業中、落書きを教科書にされていたという
中学以来、40年ぶりだそうです
普段は、電気設計のお仕事をされていて、
どこかで絵を本格的に習われたわけではありません

絵を描き始めたのも、ひょんな出来事がきっかけだったと言うことですが
その当時のことや、三日坊主で終わらせないコツ
続けるためのちょっとした工夫などが
経験を元にとてもわかりやすく記されています

この本は、趣味や絵を始めようとする人のための
ハウツー本のカテゴリーになるかと思うのですが
読み手が本の中にグイグイ惹きこまれてしまうような
誠実で読みやすい文章も
この作品の大きな魅力のひとつになっていると思います

私もいわゆる絵画を、本格的に習ったことはありませんし
よく出版されている技法書を見ても、天邪鬼な性格が災いし
『そんな通り、出来るわけないじゃん』の思いが先行するだけで
何よりセオリーや『こうしなくてはならない』みたいな決め事に
押し込められるのがイヤでイライラ・・
パラパラとページをめくるだけで嫌気が差して
何で?絵って、もっと自由なものなんじゃないの?と
余計に描く気が無くなってしまったりするのですが(^^;
たかみざわさんの本を読んでいると
『自分流で楽しく描ければ、それでやっぱいいんじゃ〜ん』と
なんだか突っ張った肩がほぐされるような心地よさを覚えます

一番感じたのは、やはり【人間万事塞翁が馬】ということと
工夫と努力なくして人生を楽しく過ごすことはできない
そして、継続は力なり、諦めず真摯に、前向きにチャレンジ!
ということでしょうか
絵に向き合う姿勢が、そのまま自分自身の人生に向き合う姿勢にも
繋がっているような気がします

たかみざわさんのお人柄がしのばれるこの一冊
もちろん、描き始めて2年とは思えないような素敵な絵も満載です
もしかしたら、これからの毎日を楽しく過ごすための
大切な一冊になるかもしれません
本の中には、私たち親子をモデルに、
とうもろこし人形作家の木村拓子さんが作ってくださった
あの【4月8日】のお人形の絵や、ご紹介文
そして、私が提出した課題写真を描いて下さった【果実と野菜】の絵が
何ともうれしいことに、表紙を飾って下さっています♪

keiさんことたかみざわさん、改めて出版おめでとうございます
そして、感動を、ありがとうございました♪


posted by マロニエのこみち・・・。 at 11:19| Comment(8) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする